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コラム

患者がチーム医療に加わるということ

はたの ようこ

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vol.02 がん発症が人生の転機に(1)−生きるということ

乳がんを発症してから私の生活は少し変わりました。それは日々の営みである「ライフスタイル」だけでなく、「生き方」という考え方が変化したように思います。この2年間を振り返ると、その変化のきっかけとなった要因や出来事がいくつかありました。

サードオピニオンを聞くために訪れた聖路加国際病院でお世話になることに決め、手術日の前日に入院しました。8日間の入院期間は、私にとって大変意義深く、人生の転機となる「生き方」を考えるきっかけとなりました。

まず手術前日に、病室で「アンケート用紙」が配られて、さまざまな質問に対して答えを記入しました。その質問の中で、今でも覚えている質問事項があります。それは「病状が悪化した際に延命治療を望みますか、緩和治療を望みますか」という項目でした。当時、手術前日の私には、それがどういう意味かピンと来ませんでした。そこで私の答は、どちらも選択せずに「ご相談したい」と記入しました。しかし後になって、その質問の意味を考えるようになりました。

入院中は、病棟の医師4人が毎日朝晩回診に来てくだいました。私は自分の状況をできるだけ知りたくて、先生方にお尋ねする質問事項を毎日用意していました。どの先生もインフォームドコンセントを徹底してくださって、私の質問に丁寧に答えてくださいました。先生方とのコミュニケーションを通して、乳がんは進行性で早期の段階から全身病であること、再発率が比較的高いこと、再発した場合の予後についてなどを、早い時点で知ることができました。

そして「私はもう元へは戻れない」とわかり、ショックがなかったというと嘘になりますが、同時に「再発」というリスクを抱えているという現実を知った時に「私はこの病気で死ぬことがあるかもしれない。けれども現在生きているし、生きたい」と「生」を意識しました。そうしたら「いつ起こるかわからない再発の不安を抱えて何もしないのはいやだ」「再発を遅らせるために何か自分にできることはないのか」と考えました。

とりあえず「がん医療雑誌」を買いあさって読みました。先生にも信頼できる情報源についておうかがいしました。また、私の手術が行われた10月は、乳がんのピンクリボンキャンペーン月間中でしたので、乳がんに関する基本的な情報の入手は比較的容易でした。そして私の質問はますます増えていきました。先生とお話をする中で「はたのさんもこのような病気を発病されたことですし、この際ライフスタイルを変えられたらどうですか」というお言葉をいただき、「ライフスタイルを変えるためには何をどう変えたらよいのだろう」と考えていました。

実は、その頃には自分の体の変化に少し気づき始めていました。入院中は規則正しい生活や食事をするので、体の中が浄化されたような感覚があり「元気」でした。それまで如何に不規則で間違った生活習慣であったかと気づき、手術の傷はまだ治っていなくても、がんがあっても無くても自分で感じることのできる「元気」という感覚、「ああ、これだ」と思いました。

その年は、新潟地震から始まって福知山線脱線事故、スマトラ沖地震など、大きな天災や事故が続きました。こうした映像を見たとき、何の予告もなく突然死期がおとずれた犠牲者の人たちのことを自分と対比して考えました。それまで、私を含む日本人の多くは、宗教的な考え方が日々の生活の中にはあまりないので、私自身「死」ということに無頓着で、生命はいつまでも永遠のような感覚を持っていたと思います。

しかし、死期は誰にも平等にいつかはやってくるし、それが事故や天災、あるいは脳血管障害や心臓疾患などの病気で突然の場合もあります。それに比べて、がんは生命を脅かす重い病気ですが、「Slow Death」なので死期まで猶予があり、それまで人生は続くということに気がつきました。だとしたら、「人生は死期に至るまでを如何に生きるかと同時に、どのように死ぬかというプロセスの問題だなあ」と思いました。

そして、聖路加病院のアンケートの質問は、自分はどういう死期を迎えるためにどういう治療を希望するのかという選択であり、その治療を受けながらどのような生活や人生を送りたいのか、それは患者一人一人異なると思いますが、この重要な選択のための選択肢なのだなと思いました。また、このような選択肢を与えてくださる病院に対して、ありがたいとも思いました。

このように、「生きること」に目覚めた私は退院後、ライフスタイルの改善を実践するために情報を収集し、動き始めました。また、発症から現在に至るまで、そのプロセスの中で新たに多くの方々との出会いがありました。がんを発症しなければ出会うことのなかった人たちだと思います。

その出会いや知り合った人たちは、高いQOL(生活の質)を維持した日常生活が送れ、希望を持って前向きに生きられるよう、物理的にも精神的にも私の人生を豊かにしてくれます。長いか短いか誰にもわからない人生ですが、もし短いかもしれないとしたら、辛く苦しく不快でネガティブな時間を送るのはもったいない、できるだけ嬉しく楽しい時間を増やそう、そう思ったら人生が楽になりました。

私にとって病気は、これから先の人生を送っていくための「Wake-up call」だったというような気がしています。

(2007年2月執筆)


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