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癌であることを家族が受け入れてくれません。
日下(東京都) 2018/04/11
家族が私が癌であることを受け入れてくれません。

数年前に癌を発症し、ずっと寛解を目指してきましたが、年初めに別の癌が見つかって治療をしています。
発症時には母親に付き添ってもらいましたが、両親とも私が癌であることを受け入れてくれません。

癌という単語自体が家庭で禁句です。
聞いてもまるで聴かなかったかのように振舞われます。知らない外国語を言ったみたいな顔をされます。ともかく癌なんてないかのように日常が過ぎていきます。家に帰って来ると、自分は本当は癌なんかじゃないんじゃないかと否認の気持ちもあって思ってしまう程に病気や病院の話はことごとく無視されます。
以前、癌治療のストレスで過呼吸を起こして救急搬送された時も「病気ひとつしたことがない」「至って健康な子なんです」とさも当然のように救急隊の方々や救急救命センターの医師に伝えていて驚きました。
それを毎回訂正するのにも疲れてしまって…
もちろんお見舞いにも来ないので、ひとりで入院して、ひとりで通院して、家では何も無かったかのように過ごしています。
入院中ですら、大学に元気に通っていると思っているようで「一人暮らしが辛いなら帰ってきていい」と言われます。

さすがに辛いというか、怖くなってきて何度かカウンセリングを家族含めて受けましたが、全く変わりません。

数年間ずっとこんな奇妙な状態で、どうしたらいいのかわかりません。2度目の発症を自分でもまだどこか受け入れられないところがあり、そんな自分にとっては全力で病気を無かったことにする家庭はぬるま湯のように居心地がいい時もありますが、いざ生きたいと治療に向かって耐えているとひとりぼっちで辛くて辛くて…
担当医にも両親に説明してもらったことが何度もあるのですが、何度詳細な説明をしてもらってもけろっと「うちの子のちゃんとした検査結果を見せてください」というような感じで話が堂々巡りしてしまい話の辻褄が合わないような状況です。
ソーシャルワーカーさんに助けられて保険の手続きやお金のことはどうにかなっているのですが…メンタルがぼろぼろになってきました。医療費は初発の時に私の窮状を心配した祖父から貰っていたお金と遺言で貰ったお金で支払えていますが、その祖父も既に他界し、治療だけでなく精神的にも均衡を崩しそうになっています。

何度か大学に休学を申請しようにも、学費を出して貰っている親の署名が貰えず、ほかに親族もおらず、休学出来ません。前年度は入院などで出席日数や単位が取れず留年になっています。学費の無駄だと訴えましたが、「なんで休学するの?」みたいな感じで取り合ってもらえません。
最近、本気で退学を考え始めました。
これまで保険手続きや大学の長期欠席手続きは全部自分でやってきましたが、ちょっと疲れました。
こっちの内情も、そもそもよく知らない事務の人にこんな複雑でひねくれている内情を伝えるのも躊躇われます。
今回は抗がん剤の副作用がつらくて、どうにか通学する事も出来ず、病院と自宅を往復しています。それでも家に帰ると「大学はどう?」とかって普通に笑って聞かれるのに怖くなってきてしまって…ここ数年がんと治療してきた自分の人生がこの人たちの中では無かったことになっているんだなと思うと涙も出てきません。髪が無くなっても「ボーイッシュで思い切ったね」と言われ、吐き気に我慢しても「トイレ行く回数多いね」と言われ、フレイルチームのおかげで殆ど痩せずに入られていますが、「ちょっとほっそりしてきて良かったね」と言われ……家族の支えとはなんなんだろう…と笑ってしまいます。

それまで健康そのものだった私が突然癌だなんて、否定しなくなる気持ちも、信じられない気持ちもわかります。私も一時期そうやって否定することでメンタルを保とうとした時期がありました。でも、数年という月日を経ても残酷なくらいはっきりと向けられる否定が辛いです。

どうしたらいいですか。
現状として、お世話になっているカウンセリング担当の方々や医師の先生方はお手上げのような状態で、何度やっても虚しいだけなのでもう私も諦めて両親を先生方に会わせることもしなくなりました。先生方は手厚く治療をしてくれ、この数年で何度も色々なアプローチをトライしてくれているものの、どれも駄目で次はどうしようか、と話し、足踏みをしている状態です。
こんなに恵まれているのに、こんなに悲しいと言うことがおこがましいと感じることもあります。
病院で涙して治療に耐えて、家で笑っていれば、何も波風は立ちません。
でも、何か解決策はないかと考えています。
アドバイスや経験談など何でも良いので教えて頂けると嬉しいです。

Re:癌であることを家族が受け入れてくれません。
看護師 Y(東京都) 2018/04/12
日下さま

ご相談拝見いたしました。
ご家族のご理解が得られないなかで治療を受けながら学生生活を送られているとのこと、大変なご苦労であったと思います。
ご家族へも医療関係の方からのアプローチも何度も試み、手は尽くされたとのことでしたので、私たちは他にどのようなことができるかを考えてみました。

患者会への参加
とくにSTAND UP のような若年者のがんサバイバーの団体には同年代の方がいらっしゃるので、同じような体験をされている方からのアドバイスや経験談が聞け、共感できる部分があるのではないかと思いました。

交流の場の利用
マギーズ東京はがんに関わる人たちが、がんの種類やステージ、治療に関係なく、予約も必要なくいつでも利用することができるようです。
こちらでもアドバイスなど何かヒントになることがあればと思いました。

専門看護師の活用
日本看護協会では特定の専門看護分野の知識・技術を深めた専門看護師制度を定めています。このなかには「家族支援」「精神看護」「がん看護」の専門看護師もおります。お近くの病院にいらっしゃるかはわからないのですが、相談することで解決の糸口になるかもしれません。
日本看護協会のホームページには名簿、所属施設が公開されています。

大学の学生相談室、保健センターなど
大学の事務の方に理解していただくのは難しいようでしたが、もし通われている大学に保健センターや学生相談室などがあれば利用を考えてみてはいかがでしょうか。

小児がん拠点病院の相談支援
休学、復学について相談支援を行うことが多いので、もしかすると有益な情報が得られるかもしれません。関東であれば埼玉小児医療センター、神奈川子ども医療センター、都立小児医療センター、国立成育医療センターといった病院になります。

もうすでにこのようなことは試されていらっしゃるようでしたら申し訳ありません。体験談やアドバイスといった期待していたお返事でなかったかもしれませんが、私たちは日下さんのお話を伺い、今もおつらい気持ちのままでいらっしゃらないか心配しています。何かあればまたいらしてください。
少しでも日下さまの助けになれば幸いです。

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