掲示板「チームオンコロジー」

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EDUCATIONAL SEMINAR
Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
佐々木裕哉(久留米大学病院) 2014/04/18
 みなさんこんにちは!

 我々、JME 2014 メンバーは本日に無事、ヒューストン入りを果たしました。ホテルも昨年同様で、MDACC への距離も近く恵まれた環境での研修となります。気温は日本とさほど変わらなでしょうか。華氏表示には戸惑いますが…
 ホテルには今までの留学に関わる事務手続きで大変お世話になった DeAnna さんが来て下さり、今日、明日のガイダンスをしてくださりました。非常に朗らかな方で心温まる始まりとなりました。夕食は Joyce にピザ屋さんに連れていって頂き、シカゴピザ (ヒューストンなのに?) を堪能。エネルギーをチャージして明日に MDACC で行われるガイダンスに備えます。6人力を合わせて実りのある研修にしていこうと思っています。どうぞ、温かく見守ってください!
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Y.Kojima(St.Marianna) 2014/04/18
早速のリポート、意気込みが伺えますね。どうぞ有意義にそして楽しんで過ごして下さい。これから始まるJME2014の皆様のリポートを楽しみにしています。
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
江藤美和子(ベルランド総合病院) 2014/04/19
本日は研修前の諸手続きを午前中に行いました。Visa Officeを訪れパスポートを見せて書類を記入。ひと段落かと思った時、担当の方が「このvisaの状況では研修はスタートできない」と話されました。研修に参加するには「WB(仕事目的のビザウェイバー)」が必須であり、観光目的のWTでは不十分であるということでした。
私を含めて3名が同じ状況で、空港近くの事務所のようなところでビザの変更をお願いしに行きました。その連絡、手続き、担当官に説明もDeAnnaがしてくださいました。「このまま研修ができなかったらどうしよう・・・」と不安な気持ちでしたので、DeAnnaのサポートは非常に心強かったです。次年度からはWBを取得するために渡航目的は何らか伝える必要があるかと思います(Conference, Meetingなど)。
無事にWBを取得しMDアンダーソンがんセンターに戻って、諸手続きを再スタート。Joyce、Theriault先生と文化の違いについて討議があり、この研修で学んだことをいかに日本でfitさせていくのかについて考える時間となりました。
研修中の白衣もいただき、いよいよ来週から本格的に始まります。たくさんのことを学び吸収していきたいと思います。
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野木雅代(JME2009)(東京医科大学病院) 2014/04/21
JME2014のみなさま

無事にHoustonへ到着され良かったですね!
見るもの、聞くこと全てが新鮮で楽しい毎日だと思います。

食べ過ぎ注意で、思いっきりenjoyしてください(^_^)

みなさんからのレポート、楽しみにしています!


Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
しもむ (NCC) 2014/04/22
こんばんは(こんにちは in Japan)。
いよいよ、本日よりJME2014研修が始まりました!! 僕は朝5時に起きてしまいました。6時45分頃集合し、shuttleが来ないなぁ~と心配していたら、15分後に到着。何やらトラブルで遅れたとのことでした。
7時半過ぎにMDAのmain buildingに到着。Group Aは8時からの看護カンファレンスのためにそのままオフィスへ移動式替え、Group B(僕を含む)は少し時間に余裕があったため、Anderson cafeで果物中心の朝食を摂取。意気揚々として、GI clinicでのphamacy研修に臨みました。
Dinaとエレベーター前で待ち合わせたあと、3人それぞれに担当の薬剤師さんを紹介され、部署に着きました。クリニックでは、attending doctor、PharmD、PA、NP、事務の人が一つの部屋の中で仕事をしており、患者さんの状態をPAが診察して来たら、その人についてディスカッションするなど、とても濃厚なコミュニケーションがとられていました。僕は、診察が必要な患者さんがいれば、M.D.およびPhamDと一緒に診察に行き、M.D.が診察終了後PharmDが薬剤、レジメンについて説明して患者さんから同意を得ると言う流れでした。診察に行ったのは3人でしたが、そのうち二人がアラブ人で、アラビア語の通訳を通じて説明をしていました。その状況で30歳mRCCの患者さんに対し、attending doctorがmetastatic cancerの治療について説明し、「治るのか、治らないのか」との質問に答えていたのは驚きました。
軽い昼食をとったあと(がっつり取ると、あとで胃がもたれるのです…)、午後はHead and Neck SurgeryのYoko Takahashiさんに案内されてMDAツアーへ。そのあとは、Jeff、Dr.Sahinと課題への取り組み方について講義を受けました。
少し気分転換をしつつ、お互いのM/Vを共有し、帰宅。Ms.Etoの手によるすばらしい豚の生姜焼きを夕食にいただき、今に至ります。これから、すこし自分たちの考え方をすりあわせてみようと思います。
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
若杉歩 (千葉大学大学院看護学研究科附属看護実践研究指導センター) 2014/04/23
4月22日(火)
 私たちのグループは、午前中の予定がEmergency Centerへ変更となり、各職種ごとに見学をさせて頂きました。私は、看護師歴30年のベテランの方からCenterのシステムや初期診療の実際の様子を見ることができました。看護師同士はすれ違う度に声をかけあい、また互いの仕事のフォローをしている様子から日常のコミュニケーションの円滑さが仕事の効率を良くしているように感じました。患者で最も多いのは、造血幹細胞移植後の患者で、中でも発熱が多いとのこと。これは、アメリカの移植医療の背景ならではだと思いました。
 午後は全員でMBTIのセッションを受けた後、Patient Leaning Centerを見学しました。MBTIから自分や他者の理解を深め、今後のグループワークに生かしていきたいです。
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藤田行代志(群馬県立がんセンター) 2014/04/25
Day 4

今朝はいつもの7時頃出発するバスだと間に合わないので、1時間早い奴に乗る、、、はずでした。しかし、30分ほど待ってもこないので歩いてMDACCへ。行きの徒歩は初です。
頑張って到着し、7:30からIntegrative Medicine Centerを見学しました。マッサージ、鍼acupuncture、音楽療法などを行っているセンターです。治療に使用されているのは4部屋で、順番に見学したら、10分で終了…ここで終わっては早起きと徒歩で苦労が報われないので、質問で粘りました。特殊な部署という感じでしたが、ここもエビデンスに基づいた治療を行っており、データもとっているとのことでした。
次いで、JanisとCarrieから日米の文化の違いについてレクチャー。Carrieのご主人は日本人ということで、日本の文化にも詳しい方でした。いろいろな違いがあるわけですが、やはり質問は準備しておいて積極的にしよう、と再認識しました。
午後になり、Brest Clinic組とNursing組へと別れ、私は移植病棟の看護師さんについて回りました。日本でも看護師さんの後についてどんな仕事をしているのか見て回ったことはないので、新鮮。看護師1人が担当する患者は重症度に応じて2人か3人ということですが、臨機応変に他の看護師とも協力しながら仕事をしていました。12時間勤務の2交代制という点も違いますね。オーダーをコンピュータで確認して実施するわけですが、1時間に1回程度の頻度で確認しているとのこと。忙しい時は簡単でなさそうですが、それでも見なければならない、と自分達の責任として行っていました。
そして、本日の最後に上野先生からmission/vision(M/V)についての講義受けました。本研修開始以来、初めてお会いしました!!一人一人のM/Vを聞き、それぞれについてアドバイスをすることで、M/Vへの理解を深める形の講義でした。自分にしかできないようなユニークな点は何か?それが自分のvisionには足りなかったのですが「自分の経験を語ることでユニークにしやすい」というアドバイスをもとに、より良いものにしていきたいです。また、帰国後の発表では「リーダーシップ、コミュニケーション、M/Vはいずれもhigh-performanceなチームを作るためのスキルである」ということを元に、それらのスキルについて説明しようと思います。

朝7時から夜7時まで、文字通り、半日以上をMDACCで過ごした1日でした!
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
佐々木裕哉(久留米大学病院) 2014/04/27
 MDACC 研修は 1週目を終えました。4月26日も 2グループに分かれて研修を行いました。我々のグループは午前に Brest Medical Oncology 部門で上野先生の外来を見学させて頂きました。他職種との連携のもと、ひとりひとりの患者さんに十分な時間が注がれ、患者さんの満足度はかなり高いものと思われます。「ほかに何か (担当医である) 私が知っておくべきこと= (あなたが) 言い残したことはありませんか?」という質問と、「そのほか質問はありませんか?」という質問をどの患者さんにも投げかけ、十分にゆとりのある空気が Examination room 内に流れていました。私の場合、後者の質問は常にするように心がけていましたが、前者の質問は経験がなく、大変に勉強になりました。
 午後はキャリア相談の時間でした。以前、「ヤングオンコロジースペシャリストの声」の欄にエッセイを書く機会を頂きましたが、それに沿った形でキャリアプランをメンターに相談させて頂きました。親身のご指導を頂き、帰国後に行うべきことがより具体化していきました。
 最後に電子カルテの使い方を勉強。血液内科医の私としては、血液内科領域の新規治療が気になり、HyperCVAD+dasatinib 療法や、Rituximab+ibrutinib療法 などに見入ってしまいました。
 夜は Happy Hourという会食。メキシコ料理店で 1週間の研修内容を振り返りながら楽しいひと時を過ごしました。来週もがんばります!
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
江藤美和子(ベルランド総合病院) 2014/04/29
研修も2週目に入りました。本日はBreast Medical Oncologyにて薬剤師のNeelamさんについて見学しました。先週も外来クリニック、入院病棟での薬剤師さんの専門性の高さに驚きでしたが、本日もNeelamさんは患者さんに抗がん剤に関する説明を丁寧にされていて、また治療オーダーのドラフトも作成し、チームの一員として非常に高い能力を発揮していました。
午後はSupportive Care部門のChairであるBruera先生とディスカッションする機会をいただき、日米の緩和ケア、チームのコンサルテーションのあり方、エンドオブライフにおけるサポートなど違いと類似点とが見えて有意義な時間でした。
水曜日からはOncology Nursing Societyの学会に参加してきます。また現地の様子を報告いたします!
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
下村 昭彦(NCCH) 2014/04/30
研修7日目。研修にも、だんだん慣れてきつつ、疲れも少しずつたまって来た今日この頃です。
本日は充実した研修でした。朝1番は精神腫瘍学のBaile先生のコミュニケーションスキルのトレーニングでした。最初に自分たちが患者さんや同僚とのコミュニケーションで何が困るかを2人1組になって挙げました。全組が、怒りを表出する患者さんの対応で困難を感じることがあると答え、それを中心にロールプレイをすすめました。怒りを表出する患者さんの背景には恐怖や不安、孤独感などを想定し、共感を示すことを学びました。
その後は血液内科病棟へ移動し、ソーシャルワーカーさんの仕事について講義を受けました。アメリカではソーシャルワーカーは全員修士号を持っており、主にカウンセリング業務を中心として患者さんと関わっています。各病棟、もしくは外来各科に専属のソーシャルワーカーがいて、患者さんの心理的負担の解消を担っています。日本でソーシャルワーカーが病棟と共同して行うことの多い退院調整は、case managerという専門の看護師がいて行っています。
昼は緩和ケア科のground roundに出席しつつ、昼食をとりました。せん妄についての講義でした。
午後は病理部の見学でした。病理部のSahin先生は乳腺病理が専門で、まずは乳癌の病理について講義を受けました。次いで迅速診断部門を見学しました。MDAでは迅速診断を行う部署は手術室と扉一枚隔てて位置しており、外科医など手術関係者とすぐにディスカッションが出来るようになっています。乳腺部分切除の検体は、直ちに迅速診断部にあるレントゲン装置で単純撮影が行われ、病変が検体のどこに位置しているかを確認します。また触診も行います。明らかに断端陽性が疑われる場合は、そのまま追加切除をrecomendします。はっきりとはわからないが、断端が近いことが予想される場合、凍結標本を作って迅速診断を行います。日本とは迅速診断の手順も異なっていて興味深かったです。
その後、標本作製の家庭などを見学し、良性か悪性かの診断に難渋する症例の多職種カンファレンスに参加し、本日は終了でした。
multidisciplinary teamにおける病理の重要性を再認識しました。病理医はスタッフが35人ほどおり、充実した体制に驚きました。
明日午後、看護師はONSの学術集会へ旅立ちます。
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
若杉歩 (千葉大学大学院看護学研究科附属看護実践研究指導センター) 2014/05/01
4月30日(火)
 グループ共通のスケジュールは、HoLLeman先生から医療従事者のメンタルヘルス、Jpyce先生からリーダーシップ、Children's Art Projectでした。
 中でも私が印象的だったのは、Children's Art Projectでした。私は小児看護の経験はないので、この分野には詳しくないのですが、このプロジェクトは活動を継続的かつ戦略的に行うためにビジネスを上手く活用しているモデルだと感じました。プロジェクトは、主にサマーキャンプやアートセラピー、子どもたちが治療によって学習が遅れないようにするための学習支援等が行われ、MDACCで治療した経験のある子ども・その兄弟・両親が参加できます。サマーキャンプの様子のDVDを拝見させて頂きましたが、このプロジェクトで支援を受けた子どもが大人になった後、今度はボランティアとして自分と同じ経験をしている最中の子どもたちを支援している姿がありました。また、アートセラピーで子どもたちが描いた絵をポストカード等のグッズとして商品化し、これらを売って収益を得ています。プロジェクトで得られた収益の一部で奨学金を設けており、こどもたちの進学支援を行っているそうです。40年前にボランティア主導でクリスマスカードを作成したきっかけで始ったこのプロジェクトが長期的かつ広範囲な支援に繋がったことは、決して容易なプロセスでなかったと思います。おそらくそこには、このプロジェクトにおける強いミッションとビジョンを共有できた背景があるように感じました。このプロジェクトのように、私もチームで何らかの活動を成果的に行う際には、質のよい成果を出すために、ミッションとビジョンの共有を大切にしてゆきたいです。
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
江藤美和子(ベルランド総合病院) 2014/05/03
JME2014参加の看護師2人は、Joyceさんに引率していただき、Oncology Nursing Societyの第39回Annual Congressに参加しています。
サンフランシスコ州アナハイムというリゾート地で開催されました。オープニングセレモニーでは、海外からの参加者が入場すると大きな拍手で迎えてくださり、がん看護に携わる者同士のつながりを感じてとてもうれしい気持ちになりました。
日本では未導入のオピオイド製剤の使用と副作用についての講演を聴き最先端の薬剤について学びを得ました。
またQOL等の研究で有名なFerrell先生の「National Consensus project for quality palliative care」に関する講演も拝聴しました。このプロジェクトのホームページには、緩和ケアに関するガイドラインやリソースも多く掲載されていることも紹介され実践で役立てていきたいと思いました。
緩和ケアを提供するうえでは様々な側面からケアを提供する必要があり、実証されたツールでしっかりアセスメントし評価すること、スピリチュアルや文化的側面からその人のもつ背景や持てる力を評価してケアを行うことの大切さを学びました。
本日は緩和ケアのSpecial Interest Groupに参加してきます!また現地での報告をいたします。、
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
山田摩耶 (岐阜大学医学部附属病院) 2014/05/03
4/23(水)の写真掲示板の投稿内容です。こちらにも合わせて投稿させていただきます。よろしければ写真掲示板の方もご覧ください!!

今週初めより、グループがAとBに分かれました。私たち、グループBはNuero-Oncology clinicにて、Nursingに関する研修を受けました。NP Nurseの方に部門の詳細を聴き、見学させていただく中で、一人の患者さんに対し、本当に多くの医療従事者が関わっているんだと実感しました。
 その中で、特に気になったのがSocial worker(SW)さんの存在でした。Nuero-Oncology clinicには2人のSWさんがおられ、グリーフケア、子供に対するケア、Core Lifeの確認、ホスピスケアの紹介など様々な仕事をされていました。話を聞くと、ずいぶん忙しそうだなあと思いましたが、ファイナンシャル的な面はビジネスセンターと呼ばれる部署がやってくれるので、SWさんは精神的なサポートの方に時間をさけるとのことでした。こうした、仕事の住み分けによる負担の軽減が出来ているところもMDACCの特徴であると感じました。
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
山田 摩耶 (岐阜大学医学部附属病院) 2014/05/03
5/1(木)

本日は、Ambulatory Treatment Center(ATC)を見学しました。Operation PharmacistのBen先生がオーナーを引き受けてくださり、ATCの主な役割、とても有意義な時間を過ごすことが出来ました。
ATCは通院治療センターで、化学療法の他、抗生剤などによる点滴治療が行われています。
ベッドが77床あり、すべてがprivate roomです。特に驚いたのが、
・6つまでつけることのできるポンプがあり、化学療法の前投薬から化学療法剤を含むすべての薬剤を最初に投与順でセットしてしまう(もちろんダブルチェック)ため、切り替えの時間が必要ないこと
・テクニシャンが化学療法の前投薬をあらかじめたくさん作っていること
でした。上記により、当日の看護師さんの負担が大きく減り、その分を患者の症状モニタリングに費やすことができると思われます。また、前投薬の期限・補充などの管理についても、Pyxisというシステムを使い、必要頻度に合わせて必要数を作っているとのことでした。
日米の違い、自施設との違いに驚き、たくさん質問してしまったので、予定されていた時間を過ぎてしまいましたがBen先生は終始笑顔で応対してくださいました。
Ben先生ごめんなさい&ありがとうございました。
その後はMenttor&Mentee hourにて、2人のMentorにMission&Visionについて相談。2人はいつも真摯に相談に乗ってくれ、自身が本当に大切にするものは何かを深く考え、そのために何が必要かを見出すことができる本当に貴重な時間となっています。次は来週。楽しみです!!
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
田口 (大阪府立成人病センター) 2014/05/03
江藤さん、皆様

研修が開始して皆様濃厚なONとOFFを体験されていらっしゃるのが伝わってきます。

看護師チームはOncology Nursing Societyの第39回Annual Congressに参加され、知識だけでなく多くの刺激をうけられたことでしょう。
昨年度からがん診療連携拠点病院を中心に緩和ケアセンターの設置が始まり、診断時からの苦痛のスクリーニング体制の整備が課題の一つに挙がっています。何をどのようなツールを用いてスクリーニングし、アセスメントし、介入していくか、根拠に基づいたものが必要ですね。

皆様、体調(特に体重の増加)に気を付け、研修を実りあるものにしてください。
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
藤田行代志(群馬県立がんセンター) 2014/05/04
Day 10 (May 2)

山田・藤田の薬剤師2名はinpatient pharmacy satelliteを見学させてもらいました。14階に位置し、入院患者のケモの混注を行っている部屋です。テクニシャンが調製室に3人、外に1人。薬剤師2名が鑑査をしていました。1日100件以上ということですが、一日かけてやっているので、十分こなせるでしょう。
鑑査の薬剤師の他、患者に投与される薬剤の入力(註釈参照)をしている薬剤師もいました。病棟に行き、各患者の”紙”カルテをチェックし、夜間の薬剤変更などをチェックします。その結果に従い、調剤システムに入力されている薬剤を変更します(その後、医師のサインが必要)。いわゆる「転記」に当たるため、ミスすることはないか聞いたところ、当然?ミスすることはあるそうですが、病棟で看護師がチェックし、薬剤師に連絡することで修正されます。
これらの仕事をしている薬剤師はoperation pharmacistと呼ばれ、病棟にいるclinical pharmacistの仕事とは明確に分業されています。ちなみに、上記の薬剤変更チェックや入力は、MDACCに来たばかりの新人薬剤師Bruceが行っており、上司のMuhammadがチェックしていました。

その後、佐々木先生と一緒に図書館に行き、EndoNoteの使い方についての情報をもらってきました。こちらで見られます。
http://www3.mdanderson.org/library/education/webinars.html
この後、佐々木先生は看護学部の本屋(生協みたいな感じ)に行って、早速EndoNoteを購入していました!

午後、個人的にはメンターのJeffといろいろ話をした後、夕方から上野先生による"Development of Career Plan"の講義を受けました。特に、Goalの作り方について学びました。一言で言うと、"SMARTER" goalsで無ければ実行の可能性が低い、ということです。それぞれの意味は調べてみると違う言葉もあるようですが、上野先生の講義で使われていたのは次の通りです。

Specific
Measurable/Meaningful
Attainable
Realistic
Time-oriented
Evaluate
Re-evaluate

いずれも大事ですが、自分としては実現可能なタイムリミットを判断する、というのが問題です。自分自身のキャパや能力、起こり得ることを想定して、いつまでに達成できるか、自ら期限を決めること。昔から苦手なのです・・・対策としてはゴールを細かく設定して掛かる時間を判断しやすくすること、そして、期限を設定して達成するというトレーニングです。「スポーツと一緒!トレーニングでできるようになる!」との言葉を信じて取り組んで行こうと思います。

(註釈)
Clinical pharmacistの言葉を借りれば、MDACCの処方システムは実質的に手書き処方箋を使ったオーダーに近い。APNやClinical pharmacistがフリーテキストで入力し、医師がサインした処方箋(PDF)に従って、Centricityという調剤システムに入力し直さないといけない。それによって、各病棟にあるPyxisというシステムから看護師が薬を取り出せるようになる。多くの人はこれを聞いて、二度手間だとか、間違った指示になり危ないのでは、と思うでしょう。早い話、MDACCの処方システムは「遅れている」。アメリカの他の病院よりも遅れている(と、Jeffも言っていた)。MDACCはあらゆる点で進んでいると思い込んでおり、電子カルテに慣れている私には、研修が始まってからこの流れを理解するのにしばらく時間がかかった。なお、このシステムは近々変更され、operation pharmacistによる入力作業は無くなるらしい。
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
江藤 美和子(ベルランド総合病院) 2014/05/05
ONS Annual Congressが終了し、ヒューストンに戻りました。
Congressでは肺がん患者さんのケーススタディに参加して最新の治療とケアについて学んだほか、University of South floridaのMcMillan先生による症状マネジメントの講義を聞きました。McMillann先生は痛みのマネジメント、他の症状のマネジメントについて研究を積み重ね、また終末期がん患者さんと家族のQOLとケアについてもデータをもとにケアプログラムを開発しています。
何年にもわたって研究と実践を積み重ね、そのデータからケアのあり方を提言しプログラムとして実践に貢献するという姿勢はとても自分のこれからのCNSとしての活動の参考となりました。ご講演のあとにお話しする時間をいただき、自分の研究テーマであるがん患者さんお排便障害について、関連文献などについてもアドバイスをいただきました。

国内外から参加されている看護師の方々ともお話しする機会があり、がん看護に誇りをもって従事されている姿にとても刺激をいただきました。

明日からMDアンダーソンがんセンターでの研修に戻ります。学会で得た学びと刺激を大切に残り3週間がんばりたいと思います。
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
佐々木裕哉(久留米大学病院) 2014/05/06
今日は午前に白血病ユニットを見学。難治性急性骨髄性白血病に対する MEK 阻害剤の臨床試験と、難治性発熱性好中球減少症に対する同種白血球輸注の臨床試験が目新しかった。事前に放射線照射済みの白血球を用いるらしい。結果が楽しみだ。

 午後は Joyce氏らの GVHD外来。NP、移植医、皮膚科医、PharmD が一致団結し診療に当たる。Multidisciplinary Care の真髄をみた。同じ患者さんからそれぞれの職種に向けてなされる相談の内容が異なっており、多職種で診療に当たることによって重層的な診療が実現していた。これが役割拡大した結果誕生した NP, PharmD の実際的な存在意義のひとつなのであろうか。
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
江藤美和子(ベルランド総合病院) 2014/05/07
本日は午前中に外来治療室でNurse PractitonerのZandraさんについて見学を行いました。幹細胞移植後のフォローアップを主にされていて、症状のモニタリング、使用している薬剤や採決結果もくまなくチェックし、必要なリソースの調整や患者教育を行っていて、外来における専門的な看護について大変勉強になりました。大きな組織ですので、外来、病棟でどのように情報交換を行っているのかと質問してみると、メールでもやりとりが主であるということで、このあたりも違いを感じました。
日本の状況で、どのような形の情報共有と連携のあり方がよいのか、考える必要があるのかと思います。

午後は臨床研究に関する倫理委員会での検証プロセスについて講義とディスカッションを行いました。臨床研究を数多く実施しているMDアンダーソンではIRBが毎週のように行われており、厳密に検証とモニタリングが実施されているということでした。患者さんの安全、個人情報を守るためにガイドラインも整備されており、また携わる医療者の教育やコンサルテーションも行われていて、非常に参考となることが多かったです。
明日は実際にIRBに参加し学びを深めていきます。
JME2014 13日目
下村昭彦(NCCH) 2014/05/08
ついに、研修も折り返しとなりました。
本日は午前中は血液内科病棟の回診に参加して、病棟における薬剤師の役割を学びました。(ちなみに、私がついた回診のPhysicianは非常に怖い方の様で、終始雰囲気がピリピリとしていました)
その後、ダッシュでMay's clinicへ移動し、サンドイッチランチをいただきながらShen先生の統計学の初歩の初歩についての講義を受けました。研究を遂行する上で統計学的検討は不可欠であり、専門家とのcollaborationが重要であると実感できました。
レクチャーのあとは再びPicken'sへダッシュ、午後1時よりIRB審議を見学しました。IRB審議は割り当てられた委員が提出されている議題をsummarizeし、内容についてディスカッションし、各委員が電子投票する、と言う形態で行われていました。専門外の内容についてかなり深い議論がされていました。また、一つ一つの議題は非常にスピーディーに議論されていました。
IRB審議見学のあとは、Dr.TheriaultとGroup Bのprojectについて、意見交換をし、たくさんの貴重なご意見をいただきました。
現在、Group Bは今日のディスカッションの内容を振り返っているところです。グループディスカッションのあとは、明日に備えて寝ます。
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
若杉歩 (千葉大学大学院看護学研究科附属看護実践研究指導センター) 2014/05/09
5月8日(木)
 本日は、Cancer Prevention and Control Grand Rounds、Chaplaincy Presentation、Breast Clinicに行って参りました。
 Cancer Prevention and Control Grand Roundsは"The Biological Residue of Early-Life Adversity"というお題の講義でした。幼少期の社会経済的状態が生涯に渡り心身に影響するという背景を、遺伝子や統計データを用いて非常に丁寧にレクチャー下さったため、現実的な内容で恐ろしく感じました。アメリカの子どもの45%が低所得者家庭であるため、国家的な問題になっているそうです。日本も教育の現場では貧困の連鎖が喫緊の課題として挙がっていますが、単に貧困は教育の差だけでなく、日本はもっと深刻な問題として国家的に解決策を実行すべきだと感じました。
 また私は初めて、チャプレンの方にお会いできました。MDACCは各病棟専属のチャプレンがおられ、仏教徒やヒンズー教のようなキリスト教ではない方のサポートもされており、広くスピリチャルケアを担っているそうです。私は看護師ですので、患者さん・そのご家族の自己存在の揺らぎに直面することが非常に多くあります。そのため、チャプレンの方の言葉の一つ一つが非常に心に染み、当時担当させて頂いていた患者さん・そのご家族の顔が浮かんで、泣いてしまいそうでした。"be there"することの本当の意味を学ぶことができたと思います。
 Breast Clinicでは、Babiera先生の診察と看護師の方の仕事を見学させて頂きました。素敵な看護師の方で、患者さん・ご家族とお会いする時間や機会が短いにも関わらず、必要な情報の聴取と提供をしつつ、関係を上手に構築されており、大変勉強になりました。
 研修も中盤を過ぎました。研修を通じて過去の自分や出来事が想起され、自分の中で未だに消化しきれていない事実に気づくことが多々あります。研修もあとわずかですが、人として成長して帰国できたらと思います。
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
山田摩耶 (岐阜大学医学部附属病院) 2014/05/12
本日は、Houston Hospiceを見学させていただきました。ここは1985年に設立されたアメリカでもっとも古いホスピスで、ベッド数は22床(すべて個室)で、在宅医療における、ホームベースとしての役割をはたしています。
木々が青々と茂る大きな庭とたくさんのベンチ、美しい教会があり、穏やかな時間を過ごすのに最適な場所でした。music/pet/aroma/massageなど様々なtherapyが受けられます。
ここでは、看護師、ソーシャルワーカー(SW)、チャプレン、医師、ボランティア、Bereavement Coordinatorと多職種でチームを構成しています。Bereavement Coordinatorは患者の死後、家族のフォロー(emotional supportなど)を行いますが、SWやチャプレンがその役割を担うことが多いとのことでした。ケアの種類は4つにわけられ、1.在宅支援2.入院ケア3.救急時のケア4.Respite careで、在宅支援が最も多いとのことでした。
内訳として、医師は2名、看護師は患者数にもよりますがだいたい3人ぐらい、薬剤師は1か月に1回薬品の補充と、何かあれば24時間電話での質問に答えるそうです。
今回私たちはボランティアの方、ドクター、ソーシャルワーカーさんにお話を伺うことができました。特に興味深かったのが、ボランティア教育に関するお話です。ここで働くボランティアの方は計25時間かけて、listening/psychosocial/spiritual skillなど様々な教育をうけるそうです。ボランティアはだいたい15-20人/日働いていて、中にはphysicianやmedical studentの方もみえます。在宅医療においても、患者や家族が何を望んでいるか確認したり、家族との関係性を作ったりしてリーダーシップを発揮しているようです。
また、非常に優しい女医さんが、わかりやすく図を描いて地域でのホスピスの役割について説明してくれましたが、終始笑顔で、この仕事に誇りを持ち、ケアを提供できることに大きな喜びを感じていることが伝わってきました。
患者の死後1回/月ごとに、患者家族に対しカウンセリングを行うなど、アメリカは患者だけでなく、家族に対する支援体制がかなり進んでいるという印象を受けました。
お昼からは、藤田先生がJeffに依頼してResearch Pharmacistの方にアポをとってくださったので、一緒に話を伺いにいきました。アポはJiteshにとっていたのですが、たまたま一緒にいたAlanと2名で説明してくださいました。PhaseⅠやPre-clinical trialにおける濃度測定やPKに関する質問へのフォローを行っているそうです。またブスルファンの薬物濃度測定による用量調節も行うそうです。タクロリムスなど通常のTDMは病棟のClinical Pharmacistが行い、自施設でみられるようなTDMグループはないようでした。
その後は上野先生より、CV(CURRICULUM VITA)の作り方について講義があり、自分のため、そして人に見せるために書くということ。また、自分がどういう人間か、何に興味をもっているか知ってもらうために、どこでどう働いていたか、どんな委員会に所属していたか、などなるべく詳しく書く必要があると知りました。上野先生のCVは60ページ!?だそうです。私のCVは今のところ3ページ、、、まだまだ多くの改訂が必要ですが、この修正を自分を振りかえり、自身を見つめなおすきっかけにしたいと思います。
山田摩耶 (岐阜大学医学部附属病院) 2014/05/12
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
藤田行代志(群馬県立がんセンター) 2014/05/13
Day 16(5/12)

午前中は薬剤師のNeelamについて乳腺外来を見学しました。
Clinical Pharmacistは4人、だいたい1日15-25人の患者が来るそうです。日替わりで4人の医師(そのうちの一人は上野先生)についているとのこと。本日は22人でちょっと忙しいようです。
薬剤師の仕事はケモのオーダー(医師の承認が必要)、ケモの副作用説明(他の人もできるが、基本は薬剤師)、医師・看護師からの相談応需、など。副作用説明には30-40分程度は掛かるそうです(特に初回は)。
いつ、どのように勉強しているのか、と聞いたら、家で本を読む事もあるがなるべく日中の隙間時間などを使って効率良くやっている様子。薬の治療全般の知識が必要なので、がん以外の、例えば高血圧のガイドラインとかも読む必要がある。ただそれは正直、チャレンジングである、と。外来自体は朝から夕方までビッチリあるので、翌日準備が日中にできないと、外来が終わってから翌日の患者チェックをする、と。チェックの内容は日本で普段やっているのと同様。メリハリつけてしっかりやっているのだと思います。

午後、MDAが行っているGrobal Programについての話を聞きました。要は、国際共同研究。件数のグラフを見ると、ここ10年くらいで急激に増えてきている。日本は京都大学、慶応大学、聖路加国際病院と姉妹提携している。International trialの難しさについて質問があり、data qualityの確保と同様のmanagementができるかどうか、が問題だと語っていました。

また、空き時間にグループワークの関連で、Janisに紹介してもらったfaculty教育を専門とするFord先生と面会。ちょっと相談にのってもらうくらいの予定だったが、資料をいろいろと用意しておいてくれ、また部屋もわざわざ取って下さっていたようで、、恐縮です。グループワークは教育をテーマにしたものをやろうとしていて、short term, long termの評価方法を相談したのだけど、案の定、long termについては途中で多くの因子が影響するため、評価は難しい(それがreal)、と。ただ、意見を聞くような調査はできるのでは、とアドバイスいただきました。
グループワークについては、メンターの一人、Dr. Sahinも夕方に時間を作ってオフィスまで来て下さり、幾つかの有用なアドバイスをいただきました。来週の水曜が発表本番。進めなきゃーー
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
佐々木裕哉(久留米大学病院) 2014/05/14
 本日も 2グループに分かれて研修を行いました。

 私の所属する Group A は午前に乳がんサバイバーシップ外来、昼に緩和ケアのグランドラウンド、午後に乳腺外科の外来見学という内容でした。
 乳がんサバイバーシップ外来は、Nurse practitioner が中心となり、治療終了から5年以上経過した方が受診される外来です。サバイバーシップ外来の導入のタイミングになると、原則として全員に受診の希望を確認するとのことです。
 ここでは丁寧な身体診察に基づく症状のフォローや薬剤副作用のフォローが行われます。場合によってはそこに、血液検査や画像検査が組み込まれた形でのフォローがなされます。受診の頻度は 1年に1回など、非常に間隔が空いており、普段のフォローアップはプライマリケアドクターのクリニックで行われているとのことです。世界中から患者さんが治療のために MDACC を受診されますが、このサバイバーシップ外来のフォローも国境を越えてやって来られるとのことです。そのコアな理由は「画像評価に定評のある施設で長期のフォローを受けることが安心だから」ということのようでしたが、サバイバーシップ外来のスタッフの優しさに癒されるため、が理由の一部にもあるであろうと思えるほど素晴らしい雰囲気の中で展開されておられました。
 お昼のグランドラウンドは「fatigue の対処について」でした。fatigue を来す原因を分析的に調べ (≒鑑別していき)、マネージメントを行います。原因による個別の対応が詳しくレクチャーされました。印象的だったのは、メチルフェニデートの使用にに関連する Randomized trial の結果でした (2013年 Journal of Clinical Oncology)。
 午後の乳腺外科外来は、術前の全身状態評価や術後の評価などを行っていました。アテンディングの先生とレジデントの先生のペアで診療がスムーズに進んでいきます。治療方針の決定に際して熟考する必要がある場合は、事前に medical oncologist にコンサルテーションを行い、長期的な見通しを立ててから手術に関しての決定を行っていくとのことです。
 どこで、どんな質問をしても丁寧に回答してくださり本当に勉強になります。疑問をその場で解決できる環境がとても有難いです。本日も実りの多い研修でした。
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
三浦裕司 (虎の門病院) 2014/05/14
佐々木先生

いつもワクワクするようなレポートありがとうございます。
MDアンダーソンのfatigue scoreと言えば、日本語訳もされている、BFIが有名ですが、今はあまり使われてないのでしょうか?

http://www.mdanderson.org/education-and-research/departments-programs-and-labs/departments-and-divisions/symptom-research/symptom-assessment-tools/brief-fatigue-inventory-bfi.html

何か情報があれば教えて下さい。
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
江藤美和子(ベルランド総合病院) 2014/05/15
今日は午前中はWound Ostomy Care Roundを見学しました。WOCナースのサラさんは、血液内科や外科を経験しWOCナースになって横断的に活動をしており、患者さんへの関わり、病棟ナースへの教育の様子を見学しました。
その後に日本とMDアンダーソンでの状況について討議しました。スペシャリストとしては、すべてのケースに介入することは数的にもできないので、自分は基本的にはコンサルテーションに徹しており、介入する場合には複雑なケースの場合であるということは共通していると思いました。
また活動のアウトカムもしっかりと記録に残していて、介入件数、介入にかかる時間、コストもデータベースに残し、ナースマネージャーが査定しているという話も伺いました。
アメリカではクリニカルナースリーダーという新たな看護職が登場し、アウトカムの明示、質の向上について結果を残していると聞きました。
MDアンダーソンでは看護職でも様々な専門家が活躍し、チーム医療の柱として活躍しています。今週で見学研修も4週目に入り、あらためて学んだことを整理して、専門看護師として自分の施設、日本でできることは何かを考えていきたいと思います。
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
佐々木裕哉(久留米大学病院) 2014/05/16
三浦先生

 ご質問を有難うございます。本日、緩和ケア部門を見学した藤田さんが情報を収拾してくださいました。結論から申し上げますと、BFI は現在使用していなとのことでした。入院中の患者さんに対して、現在は、緩和ケアの一般的な項目 (0-10点評価) の中に、Fatigue (0-10) があるとのことです。
 追加ですが、外来フォローの状況になると原則として「生活上の注意点」のような内容のハンドブックが手渡されます。その中に fatigue の原因一覧と、対処方法が書かれてありますが、それでもなお改善がない場合などに「Cancer-Related Fatigue Clinic」の受診を主治医に相談することができます。
http://www.mdanderson.org/patient-and-cancer-information/care-centers-and-clinics/specialty-and-treatment-centers/internal-medicine-center/fatigue-clinic/index.html

Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
下村昭彦(NCCH) 2014/05/16
5/15は、Group Bは午前中に手術見学、午後はRNのshadowingでした。

手術は一度見学していましたが、今回は手術室がMainにありました。May'sは外来手術中心なのに対し、Mainはまさにメインの手術室。見学も1手術室に一度に二人まで、などの制限がついていました。多くの手術室があり、腹腔鏡下手術や開腹手術など、大きな手術がたくさん行われていました。
受付前で僕たちがオタオタしていると韓国の大学の形成外科教授の先生が話しかけてくださいました。優しい気さくな先生でした。乳癌や頭頸部癌の術後再建を専門にされているそうで、サバティカルで1年間MDAに留学されているそうです。
手術は乳房部分切除+センチネルリンパ節生検→腋窩郭清でした。PAさんはMay'sでDr.Babieraの手術についていた人と同じなようでした。

午後のRN shadowingは移植病棟の看護師さんにつきました。配薬や採血、記録、ナースコールへの対応など、日本と大きく業務は変わらないようでした。転院を前に精神的に不安定になっている患者さんのメンタル面のサポートなどもしていました。基本的に12時間ごとの2交代だそうです。
チームとしてのラウンドにRNがつくことはないようですが、午前中のチーム回診の際には患者さんの状況を報告することもあるようでした。

残すところ一週間となりました。引き続きしっかり学びたいと思います。
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
若杉歩 (千葉大学大学院看護学研究科附属看護実践研究指導センター) 2014/05/18
5月16日(金)
 午前中は個人的に調整して下さった、Ambulatory Treatment Center(ATC)に見学に行って参りました。ATCでは、同種移植後患者さんのフォローを担当しているナースプラクティショナー(NP)の方のご活動を見学させて頂きました。見学させて頂いた日は、移植後Day18-108日(平均51)の患者さんを担当されていました。日本ではこの時期の患者さんは、ほぼ入院して治療をされていると思います。驚いたことにこちらの患者さんは、日本の患者さんよりもずっと顔色もよく、外観的にはあまり筋肉量が落ちているようにも見えず、活気ある生活を送っています。週末に予定しているバーベキューパーティーのことを楽しそうに話されている患者さんもおられました。果たして、日本と何が違うのでしょうか?NPの方にお尋ねしたところ、こちらの患者さんは入院期間が短いことで、より家族と過ごす時間が過ごせてるからだとお聞きしました。移植病棟も見学しましたが、治療中でも歩行訓練やベッドから離れる時間を確保していること、患者さんが治療において主体的さを強く持っていることが影響しているように私は感じました。日本の環境の中で移植後であっても、患者さんがその人らしく生活を送れるように、自分が看護師として私ができることは何か考えてゆきたいです。
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
山田摩耶 (岐阜大学医学部附属病院) 2014/05/20
5/19(月)
MDACC(M.D. Anderson Cancer Center)での研修も残りわずかとなりました。午前中は、少し時間があったため自分のCareer Development Planについて再度振り返りました。5週間研修を行う中で、自分のMission&Visionが大きく変化してきたことを実感し修正したかったのですが、なかなか考えがまとまらず暗礁に乗り上げ、人生の先輩であるチームメンバーに助けを求めました。Visionとして最も大切にしたい事は何か、そのために何をしたらいいのか、どのようにしたらいいのか?との質問に答えていくうちに自分の考えがまとまり、今回の研修を通して学んだことを生かしたMission & Visionを捻出することができました。
私たちは自分のMission & Visionだけでなく、チームのプロジェクトとしてのMission & Vision、プロジェクトの内容についても休憩時間の合間やランチの時間、みんなで作って食べるディナーの時間(料理好きなメンバーが多かったため)などを使ってほぼ毎日話し合いました。私たちの研修もとうとう大詰めを迎え、水曜日にはプロジェクト発表が控えています。
午後からは、それぞれのメンターを前に最後の予行練習。最後にセリオットから、5週間の研修を自分なりに振りかえるようアドバイスがありました。研修はどれも素晴らしいものでしたが、土日にメンターが計画して連れて行ってくれたActivityもお互いをよく知らない状態で参加したJME参加者にとっててっとり早く距離を縮め、お互いを知ることができるきっかけとなる意味のあるものであったと感じています。
他人のMission&Vision、Goalについて真剣に・親身に相談に乗ってくれる生涯の友人達と出会い、これだけ長く・そして濃密で貴重な時間を共に過ごすことが出来たことは私の人生にとって大きな宝であり、今後のLife styleに大きな影響を与えたことは間違いありません。日米では職能や国民性など様々な違いがあり、アメリカで学んだことをそのまま日本で・・・というわけにはいかないため、日本に帰った後もチームメンバーと共に私達が学んだ経験をどう生かしていくかを模索しつつ、日本のチーム医療の発展に少しでも貢献できるよう精進していきたいと思います。
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
佐々木裕哉(久留米大学病院) 2014/05/22
いよいよ今日はプレゼンの日!

 2グループとも朝からそわそわしています。

 我々 Aグループは Dr. Sahin, PharmD Jeff, NP Nick による 昨日の最終指導内容を踏まえ、午前中に最終の調整という最後まで慌ただしいスケジュールでした。Bグループは準備バッチリな模様。緊張します…

 午後3時、いよいよプレゼンです。Duncan Building の最上階 (11階) の会議室を貸し切ってくださいました。通常業務のご多忙の中、メンターや関連部局のスタッフが発表のために足を運んでくださいました。

 最初の発表は Bグループ (チーム MIRACLE) による緩和ケア関連の発表でした。SAMURAI BLUE という青の Tシャツ (MDAロゴ入り) で登場。何だかすごいです。さて、発表の内容ですが、背景、問題点の抽出、仮説の作成、証明 (研究) の手順、アウトカム評価、教育システムの再考、そしてなによりこれらを支えるミッション/ビジョンが有機的に繋がり、この 5週間の研修の成果がひとめで分かる素晴らしい内容でした。
 
 そして我々の発表。A グループ (チーム CJJ) は、卒前教育としてのチーム医療をテーマに選択いたしました。職種間連携に基づく重層的なチーム医療をさらに推進するために、対象を学生とした教育プログラムの開発をテーマに据えました。メンターから繰り返しご指導いただいた内容として、最終的にこの教育プログラムがどのように患者さん (達) のもとへベネフィットとして還元されるか、がありました。最後まで話し合ったテーマでした。建設的なご討議をいただきありがとうございました。

 発表の終了後には、みなの頑張りを称えあいつつ、そして何よりご指導をくださいましたメンター達への感謝の気持ちをこめながら、見晴らしのよい Duncan Building のフロアで記念撮影を行いました。素敵な写真が撮れました。

 夜に farewell party を行っていただきました。プレゼンの緊張から解放され、みな、安堵の表情です。これまでの楽しかったこと、チャレンジングだったことを振り返りつつ、感謝の気持ちを伝えつつ、これからの抱負を語りつつ、それはそれは素敵な時間を過ごしました。会もたけなわの頃、監督・制作 Dr. Shimomura による「JME2014 ビデオ」を披露させていただきました。Welcome party に始まり、研修のこと、週末のこと、自炊生活のことそしてそして、先ほど終わったばかりの最終プレゼンのこと(!) も含めた 5:30 の動画。すべてがかけがえのない思い出です。Dr. Shimomura ありがとう!

 食事も後半に差し掛かり、修了証授与が行われました。6人とも最高の笑顔で修了証を受け取りました。「Nurse! Nurse!…」や「Pharmacist! Pharmacist!…」などという掛け声が飛び交い、みんな、それぞれの職種に誇りをもって、そしてそして "楽しんで" 仕事をしていることをここでも体感できました。本当にゆっくりとした時間の流れの中、パーティーは終わりを迎えました。
 
 振り返ればあっという間の 5週間でした。しかし、いつどの瞬間を思い出しても濃密な時間ばかりが流れました。異国の地で、共に学び、語り合い、同じ釜の飯を食べ過ごした 5週間はいつまでも残る人生の 1ページです。

 感謝の気持ちを忘れずに、残りの2日間を過ごしたいと思います。
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
藤田行代志(群馬県立がんセンター) 2014/05/23
Day 22(5/20)

報告日が前後してすみません。
Bad Newsをいかに伝えるか?というテーマで緩和ケアのDr. Epnerの話を聞きました。まず、bad newsとして経験した事を聞かれ、治癒しないということや、薬が効かなかったということなどが、bad newsとして伝え辛いことである、といった意見がでました。ご存知の方も多いでしょうが、それを踏まえてSPIKESという方法を紹介していただきました。(The Oncologist, 2000;5:302-311)
Setting up
Perception
Invitation
Knowledge
Emotion
Strategy and Summary
その後、Dr. Epnerと佐々木先生とで医師役・患者役に別れ、ロールプレイ。佐々木先生は平素、bad newsを実際に伝えているのでそれなりに慣れているはずですが、医師役では苦戦していました。真摯な態度が重要、というのは分かりますが、特に外来で十分な時間が取れない、という意見がありました。こういったシチュエーションでチーム医療により医師に十分な時間を与えられれば、患者や家族のためになるかもしれないと感じました。
続いてDr. Ganzから乳がんのサバイバーに関する講演。アメリカには1400万人のサバイバーがおり、人口の4%に達すると。その人達が感じるfatigueの中には、炎症性のサイトカインが原因となって起こるものがある、という話をしていました。
午後は頭頸部のradiology外来を見学しました。放射線科も臓器によって別れており、頭頸部だけでも7人のDr.がいるとのことでした。Dr. Beadleは20人くらいの患者を一人で対応せねばならず、かなり忙しそうでした。医師、レジデント、PA、看護師、栄養士などがチームとなっており、代わる代わる患者の部屋に入って話をしていました。Dr. Beadleは痛みのコントロールや食事量、皮膚の状態など、放射線治療の経過をチェックしていました。個人的には栄養士の仕事というものを見た事がなかったので、栄養士にもついて一緒に話を聞かせてもらいました。通常の食事がしにくいため、僅かな通常食に加え、流動食を摂取している患者から「すぐにお腹がいっぱいになってしまって食べられない」という訴えがあり、カロリー濃度の高い経腸栄養剤への変更を指示していました。

明日はグループワークの発表日。直前の追い込みで、アパートに戻ってから遅くまでチームでのディスカッションをしました。不安です。。
Re:Japanese Medical Exchange Program 2014 現地リポート
江藤美和子(ベルランド総合病院) 2014/05/23
昨日でグループプロジェクトのプレゼンテーションが終わり、本日看護師二人は新たな看護の役割であるClinical Nurse Leader(CNL)について見学を行いました。CNLは1つの病棟ユニットを担当し、ケアのモニタリング、看護の質の評価を行い、また実践で悩んでいる看護師のメンタリングとサポートも行っています。
実際に見た場面では、業務で抜けがったときにはミスをした看護師を責めるのではなく、関係するスタッフでミーティングを行い、それぞれの意見を聞いていました。そのうえで解決策を提示し、解決に向けてはスタッフを巻きこんで、業務がどのように、誰によって行われたのかが一目でわかるよなシートを作成していました。こうすることで、スタッフも自分で対策を款得たというコミットメントと達成感を感じることができます。
自分自身の実践の成果を出しながらも、スタッフ育成とメンタリングを行うという役割を目の前で見学することができて非常に大きな学びとなりました。
また臨床現場でコンフリクトが生じ、それに対応するCNLの姿も目の当たりにし、非常に自分の普段の実践と困難と重なるものがありました。
そのことをCNLに伺うと、「コンフリクトマネジメントは日常でよく起こるが、その解決を見せることで現場の看護師も学びになる。CNLのやりがいとしては、例えば転倒無発生が~日である、などCNLがコミュニケーションを促進したことで達成できたことというのを認識したときに感じている。と話されました。
日常実践していることをより意識して実践すること、そしてそれを目に見える形にして示すことの重要性を感じました。
明日で研修が修了します。今回の研修では、看護師、AON、CNLなど看護でも様々な役割で活躍している姿を学びました。
医療のシステムは違いますが、学んだことから自分の役割を振り返り、より意図的な実践を心掛けていきたいと思います。