掲示板「チームオンコロジー」

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EDUCATIONAL SEMINAR
observer(学生)の立場から
吉田 庸子(和歌山県立医科大学) 2007/12/10
こんばんは。11月のworkshopにobserverとして参加させていただいた和歌山県立医科大学5回生の吉田庸子と申します。その節は大変お世話になりありがとうございました。学生の間から大変重みのあるセミナーに参加させていただいて、とても貴重な機会をいただいたと思っています。
 私はobserverとして、外から色んな方面の動きを見せていただきましたが、チームをつくり、1つのプロジェクトを動かすということの難しさを見て色々考えさせられました。同時にチームオンコロジーのvisionの大きさに、また衝撃を受けた気もしました。学生という立場を差し引いても、自分がどれほど小さいかを感じて、もっともっと広い世界を知らなければなぁと思いました。

 私が見学させていただいたチームでは、医師、看護師、薬剤師の間でコミュニケーションの意識の相違があるという話し合いがあって、こんな短期間に日常よくありがちな場面がうまく再現できたこともすごいと思いましたが、いろいろ勉強になりました。ずっと経過を見ていましたが、医師サイドからは「これは医師で話し合いましょうか」という言葉が目立ったのが少し気になっていましたが、でも初めから仕事、使命に一生懸命という感じで、みなさん仕事場でも優秀で、とても責任感があって努力家なんだろうなぁと思いました。看護師さんは患者さんサイドの視点に近いことと、この勉強会に参加した目的をしっかり果たそうという目的意識が強くて、私もはっと気付かされ、見失いがちな、すごく大切な姿勢だなと思いました。薬剤師さんはやや発言が少なかったのですが、発言の場を与えられたときには患者さんの安全面や現状に沿った意見を持っておられて、よく勉強されているなぁと感じました。看護師さんたちの主張はコミュニケーションを図る上でとても大切だったと思います。だから、私も含め、医師の見失いがちな視点やすれ違いを知ることができて、これからの話し合いの現場に反映できるいい時間だったと思いました。ただ、あの場において、医師だけが悪いとは言えないし、みんなの責任かなぁとも感じてしまいました。
 私も臨床実習が始まって、すでに医師サイドの考えに引っ張られて、偏っている意見かもしれないのは不安な点ですが。看護師さんは1日を通して、少し違和感を感じていることや不満があるということが明らかな物の言い方や態度を取っていたのも事実だし、医師もそれを感じていたように思います。医師もチューターの助言を受けながら、自分たちなりにコミュニケーションをテーマにして、そこに対して努力をしていたように思いました。気を遣っていたとも言えるかもしれませんが。全体の話し合いで「どう思いますか?どうしましょうか。意見がある人お願いします」という進行があっても、必ず沈黙から始まっていて、最初に発言するのはほぼ医師でした。日本人の気質もあるかもしれないし、普段の役割もこんな感じなのかなぁという印象でした。発言が苦手な人がいる場合は、確かに配慮が必要で、いかに引き出すかというのはリーダーの能力なのでその責任もありますが、話す機会を与えてもらったのなら、それが不満や対立する意見であっても、それだけの信念があっての意見なら、この機会にこそ言わなくてはいけないのではと思いました。コミュニケーションはお互いの努力が必要で、確かに発言力の弱い立場だけれども、そこから歩み寄る努力も必要になるのではと思います。不満の言葉は聞けても、医師の考えや医師が看護師や薬剤師に対して思っていることを、看護師サイドの人たちがどこまで理解できているのかや、ここは賛成しているという、医師にとってプラスの発言は話し合いの中でも看護師さんたちから聞くことができなかったのも、今回のすれ違いが大きくなった一つの要因かなと思いました。きっと普段感じている問題点や感情がたまっているんだなぁと感じ、日常の現場で問題になっていることなんだなぁと感じましたが、マイナス要素だけでは正しい意見の効果も半減してしまうのではないかと、少しはがゆく感じました。

 全体を通して、本当にバランスの問題だと思いました。でも、このプログラムを作る上での3つ目的「リーダーシップ、コミュニケーション、EBM」全てを満たそうと思うと、それぞれ解決するのかも、と感じました。医師はリーダーシップとEBMに、看護師さんたちはコミュニケーションに、薬剤師さんは考えることに偏っていたのかもしれません。ただ、1人1人の役割と個性があって、偏りや見えていない部分があったとしても、それは悪いことじゃないし、プロジェクトの目的を果たす上で全て必要な要素だとも思いました。こうして偏る必要もあるから、チームを作ることが必要なのかな、と思いました。きっと、みなが抱く理想そのものは必要で素晴らしい、でも自分ひとりでは絶対に成し遂げられない、それに気付き、自分はどこまでできて、どこから人に協力してもらう必要があるのかを見極めることが大切で、上野先生もおっしゃっていることなのかなと思います。その過程で、他者を教育したり、気を配って引き出したり助ける必要が出てきて、その能力を身につけることがリーダーには必要なのだと思いました。チームを構成する上で、その3つの要素に対する得意不得意があって良いと思います。それが職業での分担になるチームもあるかも知れません。でもどの要素も誰かに頼りきってはいけなくて、みんなの共通意識になくてはならないのだと思いました。今の日本でteamB、teamCの立場がまだ対等になっていないのは事実かも知れませんが、それが実現できる施設から、看護師さんも薬剤師さんも自分の役割や意見に自信を持って発言できるteamが増えてほしいと思いました。
 EBMについては、これまで治療に関してのみに視点をおいていましたが、今回のセミナーを終えて、意見の交換にも、一つ一つ根拠をつけて発言できることもコミュニケーションの要素になりえると新たな考えを持ちました。それが自分をあいまいにせず、説得力につながり、色んな面で人の助けになれるかもと思い、自分の成長にもこれからの課題だと感じました。もちろん、人間には科学的でない部分も多いし、それが魅力であるとも思っていますが。

 セミナーの最後にチューターの方が「どうしてコミュニケーションが必要だと思いますか」と質問され、それに対する答えはされないままだったと思うのですが、自分なりに考えてみました。今のところ、それは、あらゆる要素が十分に吟味されバランスのとれた医療が患者さんにとって最善のものだからだと思います。そのためには、一つの視点からでは偏りがあり、偏った視点での医療はbestではないから、患者さんを中心とした周りのあらゆる視点からお互いを監視しサポートすることが必要なんだと思いました。「emotinalな意見がなぜいけないのか」それは感情的な主張は自分のための主張になりがちだからだと思います。どんなに練られた意見であっても、患者さんが中心にないものは目的の医療にならず、議論や検討する目的は、あくまで患者さんや提供する医療でなくてはいけないのではないかと思いました。

まだ現場の現実を何も知らない立場で、こんなに感想を書かせていただくのは本当に気が引けるのですが、私も自分自身の成長のために、一度考えを整理する貴重な機会だと感じ、勢いだけで投稿させていただきました。未熟者ですので、今後もしっかり勉強して、また考え続けたいと思います。長文失礼致しました。
Re:observer(学生)の立場から
shige(都立駒込病院) 2007/12/13
非常によく観察されていて、吉田さんがただ見ていただけではないことがよくわかります。
プロフェッショナルの発展という意味で、一つの組織の中で、前任者ができたことを、後任者が同じ年齢に達するまで、同じ経験を経るまで達成できないとすると、なにも進化せずに輪廻しているだけになります。我々が卒後15年をへてやっと最近理解しはじめたことを、これから卒業するかたが理解してもらえれば、また新しい未来が期待できそうです。
Re:observer(学生)の立場から
izawa(地方のがんセンター) 2007/12/13
大変丁寧な観察に基づいた(笑)、感想、ご意見を拝見し、私もコメントさせていただきます。チューターとして参加した看護師です。
あれから少し時間がたちましたが、再度、このサイトでコメントを読ませていただき、いろいろ勉強させていただきました。

看護師はよく「患者に近い立場」とか、「多職種間の調整役」との役割を求められることが多いのですが(もちろん、それは大切ですが)、やはりEBMをもっと勉強しなければならないのでは、、と思います。
これは自分自身にも当てはまることなのですが、やはりチームAとしての役割を担うには、根底に医師・薬剤師との共通知識が必要と思います。
医師と同等の知識が絶対に必要であることはないでしょうが、やはりチーム医療をするうえで、医師が想定する治療方針を理解する素地がないと、それを患者に説明できません。

もっと自己研鑽が必要だなあと思います。今回のセミナーで、看護師の方に、よりEBMの必要性を感じていただけたらなあと思いました。感想になってしまいました、、。
Re:observer(学生)の立場から
うみっち(地方の弱小病院) 2007/12/13
チューター薬剤師です。
もっともっと薬剤師の意見を引き出したかったのですが、
力不足ですみません。
日ごろ薬剤師は、「医師の治療に口を出してはいけない」と
いう教育を多かれ少なかれ受けています。
確かに、知識もなく口を出すのはどうかと思いますけど、
標準治療をしっかり理解して、もし、それに外れた治療が
行われていたら、それはなぜなのかきちんと確認する必要があるのではないでしょうか。
また、上野先生も仰っていたように、グレーゾーンってとっても多いです。そのような場合、治療成績だけではなく患者さんのQOLや経済性など、薬物治療の面から貢献できることってたくさんあると思います。
この頃、外来化学療法が流行で、薬剤師も抗がん剤ミキシングをして、チーム医療の一翼を担っているような感じがしますけど、ミキシングは訓練すれば薬剤師でなくても出来ます。
その先の薬剤師としての専門性を、私も、皆様と一緒に探求していきたいと願っています!