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Susan G Komenからの御願い、これで良いのか?
上野  直人(海外在住) 2011/03/19
Susan G Komenのサイトから御願いが今日配信されました。
http://ww5.komen.org/japan.html?ecid=vanityurl:109
この英語サイトは日本からの放射線のデーターの開示をすることに署名して欲しいという内容です。その理由は、日本の原発事故は将来、膨大ながん患者を増やすからです。
ーーーーーーーーー

さて、問題がいくつかあります。
1.本当に現時点での放射線被曝量はがんを増加する根拠があるかです。つまり現時点でこの署名が必要なほどの危機的状況になっているかです。

2.開示を求める根拠には日本でのデーターの開示が不透明であると言うことをSGKは示唆しています。さてSGKも本当にこれも根拠のある判断かです。問題は、日本のマスコミと、政府の報道のコミュニケーションが欧米と違うために正確に伝わっているのかは、個人的に問題です。とにかくロジックの示し方が日本流のためにますます、世界を困惑させているかです。

3. 事実がどこにあれこれは、パニックを引き起こしかねないし、日本側としてこれに抗議するのはこのままほっとくのか、あるいは賛成するのか謙虚に、建設的に考える必要があります。

ーーーーーーーーーー
さて個人的にこのテーマを重視するのは世界でも一番影響力のある団体が動き出したのが、本当にいいかです。最終的に被曝量のデータは重要ですが、冷静なのか、あるいは政治的な意図なのかです。

もちろん、これ以上の危機的状況になれば世界的に対応が求められます。でも、もしこれ以上の被害がなく、本当に日本政府の事が信用できるなら、SGKの行動は日本の悪いイメージだけを先行させる悲しい運動になりかねません。

   
Re:Susan G Komenからの御願い、これで良いのか?
桜井なおみ(東京都) 2011/03/19
同感です。昨晩みて、ぎょっとしたところです。建設的な対応を考えます。
Re:Susan G Komenからの御願い、これで良いのか?
濱口惠子(東京都) 2011/03/19
被曝は怖い。被曝への焦りはあります。
被曝量データの透明な情報開示も、絶対に望むところです。
でも・・・日本政府も東電も、いまできる限りのことをして最大限の努力をしているこの時期に、果たして、署名をする事が必要なことなのでしょうか。データの情報開示が目的なら、いまの危機的な状況が落ち着いてからでもいい。いま署名をしても、すぐそれが反映されるわけではない。それに情報開示されたとしても、いまの私たちにできることは、外出を控え見守ることだけのような気がします。もしどうしても情報が不透明で不安だということなら、今後の日本政府や東電の対応を見てからの判断でも、署名は遅くないと思います。
日本国内での不要な不安とパニックは現時点では避けたい。
いま現場が混乱しているときに、果たして署名が必要なのか、疑問を感じます。
私は日本を信じます。(信じる、信じないの問題ではないと云われそうですが)
Re:Susan G Komenからの御願い、これで良いのか?
帶刀 朋代 (東京都) 2011/03/20
例えば詳細なデーターを開示して誰が分析するのでしょうか。
専門家が分析し統一の見解が出せるのなら混乱はないかもしれませんが、それが困難ならば意見の数だけ混乱が起きる可能性をはらんでいると考えます。
政府の情報提供が不適切かどうか私には今の時点で判断できません。
隠している何かがあるのかを知りません。

ただただ、懸命にミッションをこなされた消防士の方々、ご尽力を尽くされている方々に感謝するとともに深く頭が下がる思い、ただただそれだけです。
Re:Susan G Komenからの御願い、これで良いのか?
村上 紘一 (東京都) 2011/03/20
 現在の福島第一原子力発電所の被曝に関する情報については、医療界からだけでなく様々な方面から多様な意見が出ています。楽観的すぎる意見から悲観的すぎる意見まで、あまりに多種多様で、何が真実なのか私自身整理しきれずにいます。個人の情報リテラシーが真に問われているとも言えますが。

 今回上野先生から議題提起があったSGKの件については、SGKは日本政府が全てのデータを開示していないと主張しているようですが、インターネット上では調べる気になれば、きちんとした各地点での放射線量モニターの値などを知る事は出来ますし、意図的に隠しているというより、個人的には政府とメディアの情報の伝え方に問題があるように感じています。それが現在の国内の混乱の原因にもなっていることは事実であると思います。

 ただ、この署名運動がどういった意図の下に行われているのかは分かりませんが、これが広がることによって予想されるのは、必要以上に日本に対する信用を失墜させ、より一層の混乱を生むことではないでしょうか。
 もちろん、日本政府は、こういった世界的に注目される問題に関する情報発信の仕方について、グローバルスタンダードに追いつく必要が今後あると思いますが、日本国内ですら情報が飛び交い、混乱している現状で、このような署名運動が広がる事には現時点では賛成しかねます。

 SGKという団体について知識がなく、全体的に的外れな意見かもしれませんが、僭越ながら私見を述べさせていただきました。
 皆様のご意見も聞かせていただければ幸いです。
Re:Susan G Komenからの御願い、これで良いのか?
古川 孝広 (北海道) 2011/03/20
今回の原発事故に伴い癌患者数が増大することは、SGKが指摘するように可能性はあると言えますが、やはり根拠は不十分であると考えられます。情報開示は重要な点ではありますが、不十分な根拠により署名活動を正当化するロジックは成り立たないでしょう。以上の点に加え、現時点では原発事故に関わる情報が氾濫しており、この時点での情報開示はヒューマンエラーも起こしかねないため、むしろ早期の情報開示は不利益であると思います。データ開示の延期を表明する理由としては、以下の3項目について考えられます。

まず第一に、現在の災害は未曾有の危機的状況で、原発事故の修復、被災者の救援、二次災害の予防など優先順位の高い案件があり、上記データ開示を優先することは出来ないこと。
第二に情報の氾濫はパニックの原因になりうると考えられますが、現状ではデータの精査、吟味をすることが難しく、社会状況が安定化してから検討する必要がある。
最後に村上さんが指摘したとおり、放射線量はすでに多く公開されており、政府の対外的な姿勢が今回の署名活動のひとつの原因になっている可能性があります。非常に影響力のある組織である以上、全く無視は出来ないにせよ真摯な対応で理解してもらうことは可能だと考えられます。

どのような結果であれ、日本政府は放射線データおよびそれに伴う不利益について国民に説明しなければならない時期は近い将来訪れます。SGKに対してもそれまで支援と忍耐をお願いするのが妥当と思われました。
Re:Susan G Komenからの御願い、これで良いのか?
松木 絵里(東京都) 2011/03/20
SGKがどのような団体か十分に把握できていない上での発言で大変恐縮ですが、的外れな意見のようでしたら申し訳ありません。

一番思うことは、「はたしてこの情報が"今"必要な情報かどうか」ということです。
特に、情報が開示されることで今以上に何らかの有益な手段がとれる見込みが高いかどうかということが問題になってくるかと思います。
これは医療の現場においてもいえることと思いますが、無為に検査を行うのではなく、検査の結果によって何らかの有益な情報が得られるから検査を行うように、この情報を今、この時点で開示することでどれだけの人がどのようにbenefitするのかということをぜひこの団体に明らかに提示していただければと思います。
Re:Susan G Komenからの御願い、これで良いのか?
Takae Brewer(海外在住) 2011/03/20
私はこれを読んだとき、確かに「動機」は素晴らしいものですが、本当に今の日本の状況を助けるものなのか、それとも誇張された発言に踊らされてしまう人も出るのではないかという懸念をいだきました。

ご存知のように日本は海外のメディアや「海外の専門家」の意見に敏感です。東京にある海外の大使館が撤退したのを聞いて、東京から関西のほうに非難された方もいると聞きました。横須賀に住む私の兄は「もうだめかもね」と冗談ながらに言っていましたが、本当に「完全に放射能に体をやられた」と思い込んでいらっしゃる人もいるのではないでしょうか。さらに「日本のメディアや政府が正しい情報を国民に伝えているのか」と疑わしい方も少なくないのではとおもいます。「海外からの意見」は正確なものなら大歓迎ですが、感情に左右されていたり、科学的根拠が少ないものは極力控えてほしいものです。日本の国民のためになりません。ここでもDo No Harmの概念を忘れてはいけないと思います。

地震や原発事故のなか様々な不安がうまれますが、「国民を正しくeducateして、健全な精神状態を保つお手伝いをする」ことが医療従事者の大きな指名であると思います。国民に正しい知識をあたえることが最重要課題です。ただし日本には「政府やメディアは何かを隠している」と思っている人もいるようなきがします。MDAといった海外の著名施設の腫瘍放射線科の先生が、今の日本の「将来のがんリスク」について「心配しなくていい」とテレビなので発表してくれれば国民も落ち着くのかもしれません。
Re:Susan G Komenからの御願い、これで良いのか?
ハーリー 弘子(広島県) 2011/03/20
この署名運動の意とするところが解りかねるのですが...

放射線のデータ開示と言うことですが、東電や政府は誠心誠意行っていると思います。今の時点では、それを信じるしかないと思います。
開示の方法が欧米と違うのは致し方ないかと....。

被曝により将来がんが増えるかどうか..?と言うことですが
現時点での福島原発の線量はまったく問題ないと考えていますが、長期的な発癌を考えるのであれば、広島、長崎で行っている原爆後障害という勉強会のようなところがデータを持っていると思います。

被爆者と非被爆者のがん検診を行っており、発癌率も時間を追って比べることができると思います。
被曝から60年以上たった今は両者に有意な差があるかどうかもはっきりすると思います。(個人的には、今はないと思っています)
原爆と原発を比べるのは少々乱暴ですが(線量も全く違います)、被曝の不安を解消するためにもこういったデータを開示することも重要なのでは?と思います。
私は検査技師ですので、詳しいデータを持っていないのですが、広島、長崎の先生方でそういったことを研究されている先生はいらっしゃると思います。(ただ、被曝の影響はもうありませんとは、そういった先生からは言いにくいかもしれません)

まったく、見当違いな発言かもしれません。この記事を読んで感じたことを書かせていただきました。

Re:Susan G Komenからの御願い、これで良いのか?
上野  直人(海外在住) 2011/03/20
皆様の意見有難うございます。どれも考えさせられます。もしツイッターをされていましたら。@komenforthecure に提言して下さい。日本語でも結構です、喜んで英語に訳させて頂きます。またツイートのハッシュタグは #SGKRAD Susan G Komen Radiation の意味を込めました。
宜しく願い致します。
Re:Susan G Komenからの御願い、これで良いのか?
中嶋早苗(岐阜県) 2011/03/20
この問いを頂いてから、友人の医師にメールでこの問いを投げかけてみました.
いろいろな意見を頂き、転載させて頂いていいとのお答えを頂いたものを、自身の考えをまとめてみたいと思います.

まず、この問いを頂いてから、短い時間ですが、核医学について浅くではありますが、調べる事から始めました.
友人にも言われましたが、核医学を勉強するべき意義をはずかしながら始めて認識しましたー広島、長崎をかかえる日本では本気で勉強するべき・・・でした。

チェルノブイリからも 幼児、若年者におけるI-131と甲状腺がんの関連は明確です。これはヨードカリウムの服用で防げます(ところで40歳以上は必要ないとありますー臨床判断でしょう)、との事。
全く情報が少ないのはプルトニウムです。人間が人為的に作り出した核種で、長崎に落とされたプルトニウム爆弾、および繰り返された核実験で有名です。アメリカでは実験が繰り返されたネバダ、ニューメキシコにおける住民の健康被害が時々報道されますが、人数が少ないこともあり、あまり注目されてきませんでした。
確かに、アメリカ国内で、ネバタ州で観測される放射線量は他の地域より高いのが現実です.

アメリカの友人からの指摘では、日本がウランの再利用にプルトニウムを混ぜたMOXを作り、福島原発で利用していることが、海外が最も懸念している点だろうとの事です(しかし、まだ大きくは報じられてませんし、日本人はこの点を認識していないかもしれません.)。
アメリカでもプルトニウムの再利用はしていません、との事ですが
ただ、アメリカが気にしているプルトニウムの半減期はプルトニウム241が14.4年、プルトニウム239の半減期は2.4万年!と質量数によって異なります.(ちなみに I-131は一週間)。

よって、半減期の長いプルトニウムによる被爆が問題となり、ガイガーカウンター等のは測定できないプルトニウムに関してはより明確な情報開示、対策、医療従事者への周知が必要、という意見もありますが,
プルトニウムはα線なので、遮蔽がγ線X線より比較的用意にできますので、体外からの被爆はほとんど問題にならないともいわれています.
(出典:原子力図表集2002-2003)

Pubmed で ”cancer risk and plutonium” で調べるとフランス、米国の実験の報告が出ています。まだ読みきれていませんが、肺せんい症、肺がんのリスクは確実に、動物実験で証明されています。
が、現時点では科学的根拠は少ない状態です。



長々と書いてきましたが、
この核医学、原子力の問題の正しい情報を現時点で我々が全て入手する事の意味は非常に少なく、混乱を招くだけだと考えます.
また、低容量の被爆を長期間続ける事による発ガンとの因果関係に関する科学的根拠は不明であり、
全ての情報(特に数値のみ)を公開する事は、混乱を招くだけと考え、IAEAも介入してきている現時点では、政府と東京電力が専門家に正しい情報を提供し、
その上で我々に必要と考えられる情報を適切な時期に的確に開示して頂ければいいのでは、と考えます.

たしかに、日本国内にも、初期の東京電力の情報開示の遅れなどから、情報の確かさへの不安感はありますが、未曾有の状況であり、致し方ないのかもしれないと思っています.
しかし、今は作業員50人の方、他の方々の身を挺した懸命の作業に敬意と共に心からの感謝を送りたいと思います.


Re:Susan G Komenからの御願い、これで良いのか?
村上 茂(広島県) 2011/03/20
私の所属医局は広島大学原爆放射線医科学研究所腫瘍外科です。原爆、放射線が人体に与える影響を研究するプロの集団ですので、知り合いの先生にメールをして情報発信をお願いしてみます。
Re:Susan G Komenからの御願い、これで良いのか?
Taizo Hibi(海外在住) 2011/03/20
I reviewed SGK petition.
In short, as several people already have commented, their concerns and request may sound reasonable, but not NOW. The timing is completely inappropriate. If they are truly willing to help Japan, there are many, many other modes of cooperation and support they can provide that will take effect more directly and without delay. Again, their objective is not relevant to the current situation of Japan at all, disappointingly.

Minor points: if they are to refer to previous nuclear crisis accidents, they are suggested to cite published data describing significant correlation between radiation spill and regional increase in cancer incidence. They need to clearly delineate what are the facts (the occurrence of nuclear power plant accident and people dying of cancer are the only “true” events) and what are the scientific assumptions reinforced by statistical analysis in a way that is comprehensible to general population.
Re:Susan G Komenからの御願い、これで良いのか?
今村 知世(東京都) 2011/03/20
SGKのウェブサイトに書かれている2点「福島原発の情報を正確に開示して欲しい」、「日本の原発事故により将来、がん患者が増加する」について、それぞれに分けて意見を述べたいと思います。

1.「福島原発の情報を正確に開示して欲しい」
 日本政府の発表に疑いを持っていることから、このような発想になるのだと思います。日本の報道番組では事実が淡々と伝えられますが、米国では身ぶり手ぶりの早口で感情移入しながら報道されるのが常なので、淡々とした日本側の発表の映像を見た米国人は、それが非常に不自然で事実を隠しているかのように見えてしまうのは無理のないことかもしれません。しかし、これらの発表において、日本が事実を隠すことは不可能だと思います。なぜならば初期の時点はともかく、今では現場にIAEAのスタッフや米国の専門家等もいるため、日本政府がいくら事実を隠ぺいし情報操作をしようとしても、それは許されない状況になっていると思います。SGKも冷静に考えれば、この点は分かるように思うのですが、根拠なく感情的になっていることは否めません。
 日本政府が最悪の場合を安易に想定し発表しないことはあるにせよ、真実は報道されていると思います。

2.「日本の原発事故により将来、がん患者が増加する」
 現時点での放射線量は体に害を与える量ではないということは専門家より説明されています。では最悪の場合を考えるとどうなのかという点においては、安易にスリーマイル島やチェルノブイリを例に挙げるのではなく、福島原発の事象に応じた想定がなされるべきと思います。専門家による「事象に応じた想定」もないままに、根拠なく大騒ぎするのではSGKの良識が疑われてしまいます。
 なお原子力発電により電気の供給が行われている国の国民は、原発のリスク/ベネフィット、ならびに放射線に対するある程度の知識を持っておくべきではないかと思います(義務教育の内容に組み込む必要があると思います)。米国は歴史、発電量ともに原発の先進国であるというのに、それらの知識が乏しいかのような今回のSGKの動きは非常に残念です。
Re:Susan G Komenからの御願い、これで良いのか?
杉山直子(東京都) 2011/03/20
Webページをみました。

この団体のことを良く知らないので、日本のイメージダウンをねらう、等の政治的な意図があってなされているのかについては、私にはわかりませんでした。

日本政府の情報を疑っているようなことは書かれていないように見受けられましたが。

すでに皆さん詳細にご指摘されていますが、私が感じたこととして、つたないですが以下を記します。

1.署名を求める動機として、今回のことで癌が確実に増える、と断定しているところに疑問を感じます。過去の原発事故では増えたから、今回も増える、という言い方は短絡的で根拠に乏しいと感じました。大方の専門家は、過去の原発事故レベルになるとは予測しておらず、この署名を行うのであれば根拠を述べてほしいです。

2.情報は開示されていると思います。ただし、これまでにも指摘されているように、我が国のグローバルな情報発信の仕方について課題があることは認識すべきと思います。今後、SGKがしようと言っている、専門家による発がんリスクの評価などは当然行うべきですし、いずれ行い、発表する、と今ひとこと言うのと言わないのでは、外からの反応も違ってくるのでは、とは思います。

3.しかし、本当の問題は、上野先生がご指摘されたように、この団体が意図していなくても、この署名が日本のイメージダウンにつながる可能性がある、ということなのかなと思いました。今、日本にプレッシャーをかけて、対応を急かす結果、その質が下がるようではもとも子もないと思います。

以上をSGKに理解していただきたいという気持ちです。
Re:Susan G Komenからの御願い、これで良いのか?
とよだ(兵庫県) 2011/03/21
SGKがどれほどの力を持って活動されているか、ホームページをみてもなかなか私にはわかりませんが、私見を述べさせて頂きます。

まず、情報開示に関して、きちんとしたわかりやすいデータとして情報を提供する必要性はあると思います。
それは、被ばく者個人と世界各国は、原発事故の被害について知る権利があると考えるからです。

この災害は地震・津波災害だけではなく原発事故としての災害の側面をもっているため、全世界が詳細な情報を共有する必要があり、今後のエネルギー資源のあり方についても議論していかなければならない事は、みなさんご存じの通りです。

しかし、いまは何よりも衣食住を安定させることが第一であり、次に多大なる寄付が必要となる状況で、
SGKがホームページのトップに、今回の災害のDonationではなく、署名運動を置いているのは残念で仕方ありません。
今すべきことは、署名ではなく、継続したDonationなはずです。

話は本題にもどります。
実際、現時点では、離れていればそれほど被ばくしないと考えて対応がなされていますが、核分裂が止まっている中での放射線被害と核分裂中の被害との差であったり、原子炉や格納用プールの冷却がうまくいかなかった場合の被害の大きさについて、論理的・科学的に説明がなされておらず、頑張っているとか、なんとかしようとしているとか、作戦がうまくいっている、という抽象的な説明では十分に説明責任を果たしているとは言えないと思います。20Km圏内を避難区域に指定していることを考えると、最悪の事態が起こった際にはかなりの災害をもった原発事故になるのではないかと想像してしまいます。

しかしながら、情報を開示するだけでは不安をあおる事になるため、どれぐらいの被ばく量でどれぐらいの健康被害がでるまたは予想されるかということや、どうやって被ばくを回避するのか、といったこともきちんと示し続けることが必要と考えます。今も、物流の障害があることもあわさって、関東から西日本に避難されているご家族があるのが現実です。私が研修医だった頃に、CT検査の被ばく量に関してでさえ議論されていたことを覚えていますが、CT検査の被ばく線量当量は5mSv前後であることを考えると、今のμSvレベルの拡散は微量ではあります。しかし、現状が打破できない状況が続くと、今後は期間が問題になってくるかもしれません。毎日の値は問題なくても、1年続けばとか10年続けば…とか、食糧や水は大丈夫か…という事を考えてしまいます。少なくとも日本政府の対応は、ICRPに準拠した線量基準に従い、一般人の年間被ばく量(限界線量)が1mSvにならないように動いているのではないかと推察します。

幸い日本は島国であり、福島原発の東側が海であるため、隣国への被害や拡散については議論になっていませんが、周辺地域に住まれている方は、どれぐらいの被ばく量になっているかを知る権利があり、今後10年20年30年と時間がたち、原発付近の住民が発がんした際に、放射線被ばくがどうであったか、ということは必ず議論されるはずです。微量放射線の被ばくが人体に及ぼす影響が ’’まれである’’ ということで済まされてしまっていいのか、’’わからない’’ のか、いまだに私のなかでも疑問です。

今回の福島原発事故において、がんを含めた健康被害と災害の影響については、きちんと調査していかなければならない課題であると思います。実際、上野先生が送ってくださった、Radiation Educationの資料で、1Svの被ばくで発生するがんの増加は ’’まれ’’ であるようですが、白血病に関しては、日本での発症率が10万人あたり4人程度であるにも関わらず、1Svで1万人あたり3人発症率が増加すると書かれています。運転中に携帯メールを打つのと同じリスクである!と言ってしまっていい誤差なのでしょうか? もともと発症率が低い癌腫をごちゃまぜにして、全癌腫をあわせると微々たるがんの増加なので大丈夫であるとは決して言えないと思います。白血病の発症率増加をみて、こんなにも違うのかと、逆に恐ろしく感じたのは私だけでしょうか?

ちなみに、Radiation Educationと日本のがん罹患率(地域がん登録全国推計によるがん罹患データ)を比べてみると、以下のようになります。
がん種 1Svでの増加(10万人当たり) 全国推定年齢調整罹患率(対人口10万人,2005年データ)
白血病       30人           4.3人
乳がん       70人           47.5人(女性のみ)
甲状腺がん     16人           4.4人
肺がん       40人           25.3人
胃がん       50人           38.9人
大腸がん      20人           35.2人

被ばくに関する情報開示が、本当にいま必要な事かどうかは議論の余地があると思いますが、きちんと調査され続けることは必要であり、いずれより詳細に公にされるべきであると思います。

一般の方が1Svも被ばくするような状況にはならないと信じていますし、本当に微量な線量であったため、何十年経っても、結果的に大きな問題にはならなかったという報告が出ることを祈っています。

ただ単に原発事故が起こっただけではない日本の状況を考えて世界が動いてくれると、本当に大きな助けになると思います。
Re:Susan G Komenからの御願い、これで良いのか?
西智弘(栃木県) 2011/03/21
ツイッターで投稿した内容を転記します。
>
SGKの求めるレベルはこの記事の最後部分くらいかと推察。つまり、リアルタイム、天候を加味した範囲。>福島第1原発事故 避難範囲、なぜ国内外で違うのか:日本経済新聞 http://t.co/5Wv57nJ RT @teamoncology

ただ、情報開示は求めるべきとしても、署名運動にするのは反対。
HPを見るだけだと、単に恐怖心ばかりが煽られる結果となり、開示させて、どうするのか、という建設的見解が必要かと考える。
Re:Susan G Komenからの御願い、これで良いのか?
東 光久(奈良県) 2011/03/21
非常に考えさせられる問題提議だと思います。
総論的には賛成できる面もあるのですが、以下の点について疑問が残るため、SGKの提案には反対です。
1.SGK側自身の説明が不十分。
‐日本の放射線被ばくに関するデータ開示が不十分とする根拠がどこにあるのか。
‐スリーマイル島事故の例をあげているが、今回の福島原発事故をそれと比べてどの程度のものと考えているのか。
2.SGKの目標・目的が不明確
‐仮に『真の』情報が開示された場合、SGK側から専門家を送り、今後のがん発症リスクの見積もりと今後の行動計画を策定するとあるが、どの程度実現可能なのか。その専門家の名前や考えうる具体策、そしてそれに向けてのロードマップを示すべき。それが示されないのであれば、単に一般市民の不安感をあおり、感情に訴えるだけになりかねない気がする。

大きな影響力のある人物や団体は、人一倍謙虚である必要があります。放射線という、世界中の人々が敏感な問題については、最大限冷静かつ建設的な議論を望みます。
Re:Susan G Komenからの御願い、これで良いのか?
天木美里(東京都) 2011/03/22
医学部学生です。
一般人レベル+わずかの知識しかないので立派なコメントができないのですが
意見(というか感想)を率直に述べさせて頂きます。

今関西や九州の人たちが東京に来るのさえ被爆のため抵抗を感じ
福島への援助の車も引き返していくという話を耳にして、
そこで生きるしかない人たちがたくさんいるのに、と悲しい気持ちです。
テレビ放送とネット上での噂が錯綜していて、私には何が正しいのか
判断できない状況です。(それで怖がってしまうのも仕方ないと思います)

ただの私の気持ちであってSGKに関することではないのですが…
皆さんの意見をお聞きして勉強しているところです。

失礼いたしました。
Re:Susan G Komenからの御願い、これで良いのか?
横山 太郎(埼玉県) 2011/03/22
私は反対です。

理由は提示されている情報が不透明とありますが根拠が記されていない点や、情報を得てその後、どのように対応するのかが記されていない点からSGKの意図が私にははっきりとは分からないし、サインをした他の人とも方向性が一致しているとは思えないからです。

現在の原子力発電所の状態や今後の影響、提示されている情報が正しいのか、今回の署名に政治的意図があるのかは私には現時点ではわかりません。すべて推測になってしまいます。皆様の解答やメールを拝見してひとつひとつ考えていきたいとおもいます。
恥ずかしい話ですが、わたし自身が情報に一喜一憂している状態です。

ただ、日本が正しく情報を伝えているならば世界にはしっかりと伝わっていないということになります。今後、情報の伝え方は改善していかなくてはいけないと思います。
Re:Susan G Komenからの御願い、これで良いのか?
大庭 (北海道) 2011/03/22
色々と情報集めてるだけで、時間が過ぎていきましたが、以下、2点についてまとめました。

1. 情報公開につきまして
最初の頃と違い、今はかなり情報が公開されてきているのではないかと思います。まず客観的な測定データとして、研究機関、文科省、その他数多くのモニタリングのデータ(以下、まとめサイト)https://sites.google.com/site/radmonitor311/
発電所自体に最近はメディアも入っていますし、海外の話でいいますと、WHOも、WHO is not advising general restrictions on travel to Japanとのコメントを出して、HPでも特集を組んでいましたし http://www.who.int/en/、IAEAも同様に情報をUpdateしてます。http://www.iaea.org/newscenter/news/tsunamiupdate01.html
政府の会見に、当初は海外メディアが入ることが出来なかったとの話もありましたが現在はそちらも解消されているそうです。

他の先生も指摘されておりましたが、これらの状況の中で、どのような情報を開示して欲しいのか、この点は具体的にしていただいたほうが良いのではないでしょうか?また、上野先生がご指摘されているような、開示の日本的・アメリカ的などの、やり方の問題となりますと、それを、今変更するのは難しそうだなと思います。(本当はこれが一番の問題のような気がいたしますが)

2. 被曝のリスクにつきまして
In the five-year period immediately following the meltdown at Three Mile Island, the number of people living within 10 miles of the nuclear site who were diagnosed with cancer rose 64 percent.というような記載もありますが、これはどの根拠に基づくものなのでしょう。Three Mile Island(TMI)に関しては、TMI Cohort研究が行われているようで、いくつか論文が報告されています。例えば(Talbott EO et al, Environmental Health Perspective 2003)では、被曝量での用量関係が可能性程度に示唆されていますが、癌の発現などに関して一般集団と変化はないようです。

とは言いましても、私は専門ではないので、以下、京都大学の中山健夫先生からいただきました情報を転送いたします。昨日、「害がないなら情報を公開しないでほしい」、という茨城県の農家のニュースを見ました。情報の伝え方、消費者リテラシー、臨床試験と同じように大変難しい問題だと痛感しています。

**以下、転送です。いただいた文章ですのでそのまま掲載します。スペースを取って申し訳ありません。**
中山健夫@京都大学大学院医学研究科健康情報学です。鹿児島大学公衆衛生学の秋葉澄伯教授から頂いたメールを、先生のご許可を頂いて転送させて頂きます。秋葉先生は広島・長崎の(財)放射線影響研究所で被爆者の疫学研究に携われ、現在同研究所顧問をされています。ご参考になれば幸いです。

低線量域の放射線影響、特に線量・反応関係は、良く分かっていません。国際放射線防護委員会(ICRP)はがんリスクが線量に比例する所謂、Linear-non-threshold model(LNT)モデルを採用し、低線量・低線量率では、単位線量当たりのがんリスクを約半分にして適用しています。日本政府もICRPの考え方を採用しています。
今回の被ばくに関しては、既にI131,Cs137が大気中に出ていて、住民が被ばくしていますので、I131(半減期8.1日)や、より短寿命の放射性ヨウ素の内部被ばくによる甲状腺への影響が問題になるだろうと思います(ただし、周辺地域での環境線量に関するデータも把握しておりませんし、また、内部被ばく線量は生活状況・食習慣等にもされますので、既に問題となる程度の被ばくがあったかどうかは分かりません)。外部被ばくでは15歳未満の被ばくでは甲状腺がんが増加しますが、それ以上の 年齢での被ばくによるリスク増加の明確な証拠はありません(Ron-E et al, 1995 Rad Res)。

今回の事故では、主に内部被ばくが問題となりますが、内部被ばくの場合、チェルノブイリ事故で被ばくした住民のデータを参考にすれば、小児での甲状腺がんが数年で増える可能性があります。ただし、チェルノブイリ事故後の小児に甲状腺がん増加には、放射線に加えてそれ以外の要因(例え ば、ヨウ素欠乏)が修飾要因として働いていた可能性があります(Cardis E et al 2005 JNCI)。なお、小児以外の内部被ばくでも甲状腺がんが増加しうると一部の研究者は予想しています。

それ以外のがんや非がん疾患に関しては、良く分かっていません。チェルノブイリ事故後の周辺住民でのがんリスクに関しては、LNTモデルで計算した結果が公表 されましたが(Caridis E et al 2006 IJC)、LNTモデルを用いたことに対して強い批判がありました。比較的低い線量を繰り返し被ばくしてもリスクは全く上がらないか、やはり累積線量に応じてあがるか、累積線量に比例するとして線量・反応関係の大きさは短 時間で被ばくした場合に比べて半分程度でよいかに関しては議論があります。
インドでは大地からの自然放射線が高く、年間の被ばく線量が10mSv に及ぶ地域があり、数万の人が住んでいますが、我々が既に公表した調査結果によれば、がん罹患率は増加していません(nair et al 2009 Health Phy)。

基本的には、ICRPの現行の基準を支持する結果です。今回の事故もあり、原子力放射線に関する国連の科学委員会(UNSCEAR)が、これらの問題を検討するためのワーキンググループを組織する可能性が大です。がん以外では白内障(特に後嚢下白内障)や硝子体混濁が問題になると思います。この場合、同じ線量を短時間に被ばくした場合と、何回かにわけて被ばくした場合で、リスクは異ならないとする意見が少なくありません。 累積線量が100-200mGyに達した場合、リスクを無視できないかもしれません(最近の話題なので、適当な文献はありません)。
なお、今回の事故による被ばくでは、線量が低くとも、「被ばく者」の社会的差別も心配されます。

胸のX線写真を撮ったときの線量と、今回の被ばくを比較できないのではないかとの指摘もありますが、繰り返し被ばくと一回きりの被ばくとの違いに関しては、すでに述べた通りで、見解が分かれるところです。なお、胸の被ばくの場合、乳がんリスクは、繰り返しひばくと一回きりの被ばくとの違いがない が(Preston Det al. 2002 Rade Res)、肺がんは何回かに分けて被ばくした場合の方がリスクが低くなると報告されています(Howe G 1995 Rad Res)。このことからも示唆されるように、放射線による発がんは単に放射線によるDNA損傷だけでは説明できないとの考えが最近は有力です。
なお、全身被ばくと部分的な被ばくの違いの問題もあります。線量の単位がSvなので、effective doseを計算していると思われますので、その場合、比較できると多くの放射線防護専門家は答えると思います。

以下、アメリカの友人からの情報です。
It is often frustrating trying to get reliable and understandable information.I have been relying a lot on the N.Y. Times website www.nytimes.com,and one should check out their blog The LEDE.For example, they sometimes show translated segments from NHK news.They have also links to interactive features which describe how nuclear
power plants work, how a meltdown occurs, etc.Although NYTimes doesn't always seem to update their information as often as one would like, it is very worthwhile to keep visiting it.

For basic information on radiation health effects,they can visit the EPA website (for example): http://www.epa.gov/radiation/understand/health_effects.html.
There is a nice table showing the types of health effects one might expect by radiation dose (in rem) I think one can find there (after some mouse clicks) basic info on I-131, Cs-137. By the way, I find it frustrating that the news media often fails to refer to dose rates in terms of Sv per hour (the per hour is often missing).

I also have been checking with the NRC, www.nrc.gov, but that is NOT user friendly. You may be interested in their computer calculations.See: http://www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/news/2011/11-050.pdf.
At first glance these calculations are really troubling, but I am not sure what to make of them (how, for example, do their calculations for "maximum dose" relate to the much/somewhat? lower doses that people might actually expect to receive even under these hypothetical situations). I would NOT recommend this site for the general public.

This web-site is a good place to get latest update on the status of the reactors:

http://nei.cachefly.net/newsandevents/information-on-the-japanese-earthquake-and-reactors-in-that-region/
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京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻は、
コクラン共同計画(Cochran Collaboration)の正式許可を得て、同計画が、
今回の震災のために無料公開した、震災・洪水に伴う健康障害の予防・医療
に関する情報を含む同計画のエビデンスエイド等の翻訳を提供しています。
(http://www.pbh.med.kyoto-u.ac.jp/)。
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