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治療とその選択
トリプルネガティブ乳がんの術後化学療法のリスクについて
ふうか(千葉県) 2015/04/01
初めまして。

この度初めて乳がんが見つかり2月に温存手術を受けました。
術後一か月の病理結果でトリプルネガティブと診断されました。
浸潤性乳管癌(硬癌)、浸潤部 1.3cm、非浸潤部 1.9cm、リンパ節転移 陰性0/6、核異形度 グレード3、組織異形度 グレード3、Ki67 75.5%、ホルモン感受性 陰性、HER2/neu 陰性、リンパ管・脈管侵襲 なし、断片 陰性。年齢50歳。

乳腺外科医の先生からTNなので化学療法(AC療法3か月+パクリタキセル3か月)を勧められ、同病院の腫瘍内科を案内されています。

ガン確定後、サブタイプ未検査のまま手術までの二か月半、攣るようになり、痛みまで出てきて、大きくなった気がすると訴え、不安を抱える中、「コロっとした形状だからおとなしいタイプです」という言葉を信じて耐えてきただけに、TNの宣告に泣き崩れました。
それでも、まだまだ甘えてくる子供の為に少しでも長く元気でいたいと考え、しっかり治療をうけていこうと思ってウィッグも用意しました。

ところが素人の悲しさで、自分の身になって初めて、TN治療の難しさ、ガンの怖さ、を知って動揺しています。
一番ショックなのが、抗ガン剤で増悪するケースがあると知ったことです。
TNの術前化学療法で「タキサン系薬剤に増悪をきたす症例も約20%と高率に存在」という話(日本乳癌学会のポスターだと思います。他にもインターネット上で「EC療法で腫瘍が小さくなったものがタキソールを使い出したら突然大きくなったという報告」という一文を読みました)を見ると、16人の一人の乳がん、乳がんの12%のTNを引き当てた自分が約20%の「タキサン系薬剤に増悪をきたす」を引き当てないと思う自信がありません。
もちろん、この報告はエビデンスとしては症例報告でしょうから、標準治療を優先して考えるべきなのかと思います。
でも私の場合は体のどこかに潜む見えないガンを叩く再発予防/遅延の為の抗がん剤治療なのに、その治療が逆に見えないガンを元気にして早期再発させてしまう危険があるという事を受け入れる事が、とても苦しいです。

この「抗ガン剤で増悪する」リスクをどのようにとらえて、向き合えばよいのでしょうか?

上述だけから考えて、タキサン系だけ避けてAC療法のみにすれば、20%と比べてかなりのリスク減とできると考えていいのでしょうか?
AC療法だけになるので再発のリスクは上がりますが、再発した時に腫瘍を観察しながらタキサン系を使っていっても遅くはないと思っていいのでしょうか?

それともタキサン系はTNによく効くという事ですので、単独ならアンスラサイクリン=>タキサンという上述の組み合わせと変わるので、増悪のリスクはかなり下がるとかいう報告等はあるのでしょうか?

それとも、私の心配は全部杞憂なのでしょうか?
あるいは、こんな心配をするなら無治療を選ぶべきなのでしょうか?(無治療を選べるような勇気は、今は全然ありませんが。)

先に腫瘍内科の先生とじっくり相談すべきかと思うのですが、内科の先生に初めてお会いするのが術後6週間目で、仮にそこで治療方針が決まっても開始できるのは(今までスピード感ですと)術後8週間目になりそうで、2度3度と相談すると術後何週間もたってしまいそうです。

長くなって恐縮ですがよろしくお願いいたします。

   
Re:トリプルネガティブ乳がんの術後化学療法のリスクについて
YF(群馬県) 2015/04/03
ふうかさん、こんにちは。
薬剤師のYFと申しますが、仲間の医師達とも相談した上でお答えさせていただきます。

手術後の検査結果が予想外のものであったことで、ショックも大きかったことでしょう。それでも、ご自分でもいろいろと調べ、少しでも前向きに取り組もうと頑張られていることと感じます。
さて、その中で「TN乳がんの約20%がタキサン系薬剤により増悪する」というような情報を見て、大変ご心配されているのですね。これについては、少し誤解があるのではないかと思います。
効果が不十分であるために、タキサン系の薬剤を投与している最中に腫瘍が大きくなってくることはありますが、その確率は5-8% 未満と考えられています。
あくまでもがんの増殖する力が強くて大きくなっているわけで、タキサン系の薬剤に副作用によって増悪する訳ではありません。ご安心下さい。

これから、腫瘍内科の医師と初めて会ってお話を聞くようですが、気になることはしっかりご相談なさってください。外来や化学療法室の薬剤師や看護師も相談に乗れると思います。ふうかさんにとって最適の治療を安心して受けられることを祈念しております。
Re:トリプルネガティブ乳がんの術後化学療法のリスクについて
ふうか(千葉県) 2015/04/18
YF様
ふうかです。コメントありがとうございました。
お礼が遅くなり申し訳ありません。かなり落ち込んでしまって、まともに文章を書く事もできない状況でした。

タキサン系投与時の増悪が薬剤の副作用では無いと教えていただき、安堵しました。
確率も教えていただきありがとうございます。自分の気持ちを少しでも落ち着けて腫瘍内科医師とお話できたので、本当に助かりました。(もし教えていただけていなければ、恐らく自滅的なパニック状態になってしまっていたかと思います)

先日、腫瘍内科医師とお会いして、気になっていた点を相談しました。
タキサン系投与時の増悪については、経験ある無しを含めて口を濁されていました。
タキサン系が効かない確率は数パーセントと答えたいただきました。
ただこの質問をする前に、私の場合はリンパ節転移がないのでタキサン系は必要無い(AC療法のみで良い)と思うと言われて、最初からタキサン系は勧められませんでした。理由は期待される再発率抑制効果が(全サブタイプ含めて)2%程度で小さい事と末梢神経障害が後遺症として20%程度の方に残ってQOLを下げてしまう事との2点でした。
上記について、核異形度、組織異形度、Ki67 値を考慮した全サブタイプに共通した判断(TNに特化した判断で無い)と言われていました。

その後、いろいろ悩んだのですが、結論としてパクリタキセルは受けないとお返事することにします。
TNだからこそ化学療法にすがりたい気持ちもありましたが、それも限界がありQOLという視点を教えていただいて、甘えてくる子供にとって必要なのは元気なママだから、仮に時間は限られていたとしても、(初期治療も含めて)その中では出来るだけ元気な時間が多い方がいいかと考えた次第です。普段通り元気なママが病院に行って帰ってくると病人になってしまうのは子供心には辛いだろうし、(後遺症も含めて)病人姿ばかりが子供の記憶に残ってしまうのも嫌だなと思っています。
判断の良し悪しはわかりませんが、私の選択だと思っています。

最後に、自分がこの病気にかかってみて、本当に多くの医療関係者がこの病気の治療方法の解明に尽力されていることを知りました。
また、自分が考えて選択する立場になって、改めて治療方針をたてて勧めてくださる医療関係者の方々が患者の為に難しい判断をしてくださっていることを実感しました。
YF様はじめ、チームオンコロジーの皆様、医療関係者の皆様に改めて御礼申し上げます。
ありがとうございました。

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