掲示板「チームオンコロジー」

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治療とその選択
化粧品等に含まれる物質について
saitou(東京都) 2017/04/09
以前DCISの疑いでご相談させていただいた者です。
https://www.teamoncology.com/bbs/thread_dtl.php4?coid=1&cid=10&tid=5373&pg=1#res_5375
その後転院し再度病理診断を受けた結果、非浸潤乳管癌として治療を受けることとなり左胸摘出手術、センチネルリンパ節生検3か所(陰性)
受けました。

術後完治との報告を受け、現在リハビリ中です。
貴機関にてご相談でき、完治に至ることとなりました。
ありがとうございます。

ところで、健側の発症などを予防するため、発癌物質といわれるものを極力遠ざける生活をしたいと思うのですが、整髪料や化粧品に含まれるポリアクリルアミドが非常に気にまります。

私が長年愛用していた乳液にポリアクリルアミドが含まれていました。
アクリルアミドは有害であるといわれていますがその重合体であるポリアクリルアミドにも遊離した単体が含まれている可能性がある
とのことだからです。

乳癌の患者がどんな化粧品を使っていたか、その成分は?
などという調査はありますか?

私はやはりポリアクリルアミドが使われている化粧品はもう使わないほうがいいのでしょうか?

   
Re:化粧品等に含まれる物質について
O(東京都) 2017/04/17
Saitou様、大学病院に勤務している薬剤師です。
手術のご報告を頂きましてありがとうございます。
完治され現在リハビリ中とのこと、本当に良かったですね。

今回のご質問いただいた乳がんの患者さんが、具体的にどのような化粧品を使用されているかについてですが、
今回調査した範囲では具体的な情報はありませんでした。

Saitou様が使用されている乳液に添加物として使用されている、ポリアクリルアミドですが、成分名はポリアクリル酸アミドといいます。
アクリルアミド(モノマー)を重合させることで作られる合成ポリマー成分と呼ばれるものです。
医薬部外品の添加物として、使用が認められています(医薬部外品原料規格2006)。
乳化安定剤、増粘調整剤として使用されたり、粉状の化粧品を固形状に結合する為の結合剤として、薬用石鹸、シャンプー、リンス、除毛剤、育毛剤、腋臭防止剤、浴用剤、染毛剤、パーマ剤に使用されています。
発ガン性物質として挙げられることのあるアクリルアミドはモノマーであり、ポリマー化したポリアクリルアミドは毒性のない成分といわれています。
厚生労働省のホームページに、医薬部外品の添加物リストが載っていますので、参考となるかもしれません。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/keshouhin/

現在、Saitou様は、長年愛用されてきた乳液に、気になる添加物が含まれていることを知り、
“アクリルアミドは有害であるといわれているが、その重合体であるポリアクリルアミドにも遊離した単体が含まれている可能性がある”ことが気になっておられるのですね。

化粧品は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」によって規制されています。
この法律は化粧品以外に、医薬品のほか医療機器、医薬部外品についても規制しています。

化粧品の安全性評価に関する指針において、基本的に評価しなければならない5つの安全性の試験項目があります。
国内で販売されている化粧品については、①単回投与毒性②皮膚毒性③眼粘膜刺激性④皮膚アレルギー性⑤変異原性の安全性試験を経て、安全性が確かめられたものです。
海外の化粧品については、海外の法律によって規制されています。

今後、Saitou様がポリアクリルアミド含有の乳液を使用継続されることが気になるようでしたら、含まれていない他の製品に切り替えることも、検討されてはいかがでしょうか?

アクリルアミドは、食品についての報道も目にすることが多いと思われます。
多くの食材にはアミノ酸と糖類が含まれています。
その中の特定のアミノ酸(アスパラギン)と糖類(ぶどう糖、果糖などの還元糖)が、揚げる、炒めるなど120℃以上で加熱されることによって、アクリルアミドが発生するのです。
また、アクリルアミドは食材に含まれる水分が少なくなると、多く生成します。
アクリルアミドは加熱調理の副産物として、昔から食品に微量に含まれていたと考えられています。

食品については、合理的に達成可能な範囲で、できる限りアクリルアミドの低減に努めたほうが良いとされており、
食品を販売する企業では、アクリルアミドを低減させる調理方法や研究が行われているようです。
農林水産省のHPでは、家庭でできる調理の注意事項が公開されています。
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/index.html
海外では、でんぷん質の食材を加熱する際は、あまり焦がさないようにするなどのキャンペーンが行われているようです。

健康な生活を送る上でもっとも大切なことは、バランスの良い食生活を中心とした生活を送ることです。
生活のなかで、ひとつのことだけに捉われすぎないように、楽しく過ごしていただけたらと願っております。

Re:化粧品等に含まれる物質について
saitou(東京都) 2017/06/08
詳細なご解説ありがとうございます。
確率的に危険因子である要素が少ないとしても
やはり化粧品は替えようかと思います。
シワシワになるのは睡眠時間の調節などで克服してゆくしかないですね。
Re:化粧品等に含まれる物質について
ST(東京都) 2017/06/12
お返事ありがとうございます。医師の ST と申します。
もちろん十分な睡眠は肌にとって良い影響を与えると思われますし、バランスの良い食生活を中心とした生活も大切です。
シワという意味では保湿はもちろん、紫外線への対策なども重要になってきます。
だんだん気温も上がってきましたので、くれぐれもご自愛ください。

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