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家族関係とコミュニケーション
家族を説得する為、代替医療が効かないと言うデータが欲しいです
さとみん (東京都) 2018/04/11
おかしな質問内容で申し訳ありません。

既婚、子供有です。
昨年10月に乳がんと診断されました。
ステージ1(17ミリ)
充実性癌
リンパ節転移無し、脈管侵襲無し、中心壊死あり
ERスコア7 PGRスコア0 Her2 +1
グレード2
KI-67:34%

昨年10月に超音波、組織診で乳がん判明
11月初旬には全摘手術
11月末には上記病理結果判明
12月初旬にオンコタイプオーダー
12月下旬に結果判明 高リスクスコア(48)
今年1月年明けから
Dose dense AC療法4回+パクリタキセル4回+ジーラスタ7回
4月中旬 抗がん剤終了予定、その後ホルモン療法、LH-RH注射までやるかは主治医と相談中

私としては「全摘・抗がん剤2クール・今後ホルモン剤で、現時点でやるべきことは全てやった。」と言うスタンスです。
夫が理系出身なので、主治医と夫のあくまでもデータと証拠に基づいたアドバイスで治療をやってきたつもりです。
主治医からも、「皆さんいろいろ悩まれて時間が掛かる中、冷静に、乳がんと判ってからサクサクと半年で初期治療を終えたのは理想的。」と言われています。

ただ、私の両親も夫の両親も本やテレビで報道される断片的な情報だけを元に、更に代替療法を進めてきます。
我々夫婦もその度に「心配はわかるけど、効果がはっきりしたものではないから。」と断っているのですが、一時期は免疫療法に何百万も払って勝手に申し込みそうでしたので、慌てて止めた経緯があります。

医療に関わる皆様の間で「代替療法が効かない」と明確に、素人向けに説明した資料や冊子などはご存知ないでしょうか。

お互いの両親は最早歯止めが利きません。自家ワクチン・免疫療法・オプシーボの自費投与と次々薦めて来ます。

そもそも高リスクとは言え、ステージ1で抗がん剤2クールやってますので、将来の再発転移は10%前後のはずなので心配しなくても大丈夫と伝えているのですが、その10%を何とか0%に出来ないのか、と言うのが両親のスタンスです。

(あまりにしつこいので最近では根負けして、小林製薬のシイタゲンだけは飲んでいます。費用的にも月数千円ですので。)

代替療法は5000人患者がいれば数人は効くかもしれません。ただそんなレベルですよね?
両親は公式発表と言った公的・形式的な情報には弱い世代ですので、代替医療全般に対し何かそう言ったものがあると大変助かります。

どうぞよろしくお願いいたします。  

   
Re:家族を説得する為、代替医療が効かないと言うデータが欲しいです
N(東京都) 2018/04/12
さとみんさん

乳がん診療に携わっていた者です。

ご自身の病状と科学的根拠を良くご理解されたうえで、治療を選択なさってきたご様子が伺えました。

そのような中、ご家族の方のご心配を理解しつつも、根拠なく代替医療を進められていることに対する戸惑いがおありなのですね。

代替療法の中には、「行う方が良い結果が得られる」という根拠のある、運動療法なども含まれ、一括りにはできませんが、それらを含め、信頼できる情報源として以下のようなものがあるので、ご参考になればと思い、ご紹介します。

1.日本乳癌学会 患者さんのための診療ガイドライン
http://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g8/q64/

「Q64.免疫療法,高濃度ビタミンC療法,アガリクスやメシマコブなど補完代替医療は乳がんに対して効果が期待できますか。乳がんの治療中にこれらを併用してもよいでしょうか。」

という項目に、

「乳がんの進行を抑えたり,再発を予防したりすることが証明された補完代替医療はありません。そのため,乳がんに対する治療としてはお勧めできません。一方,がんの痛み,化学療法中の吐き気やホットフラッシュに対する鍼(はり)治療,痛みや不安に対するマッサージ療法や適度な運動,サポートグループによる心理療法やリラクセーションなどによる心身療法など一部の補完代替医療については,臨床試験において効果が認められています。補完代替医療を受けたい場合には,担当医に相談しましょう。 」

という一節があります。また、安全性などについても注意が促されています。

2.国立がん研究センターの「がんになったら手に取るガイド」- 補完代替療法(ほかんだいたいりょうほう)を考える
https://ganjoho.jp/hikkei/chapter3-1/03-01-11.html

には、

「補完代替療法には、治療効果、つまりがんの進行を遅らせる、生存率 を高める効果が証明され、治療法として勧められているものは現段階では1つもありません。従って、効果が期待できる治療法として見なされていません。同じく、吐き気やだるさなど、がんに伴う症状を和らげるための代替療法についても、治療法として勧められると判定されているものは、1つもありません。」

と書かれています。

3.既にご存じと思いますが、治療に使用する薬剤は、厳密な方法で臨床試験を行い、その効果が明らかに証明(「科学的検証」と言います)されたものを使用することになっています。

現在乳癌には保険適用がないけれども、他の疾患で使用できる免疫療法やオプシーボなどの薬剤については、さとみんさんの病状に対して効果が見込まれる、と考えられるような根拠(科学的検証)は現在のところありません。しかし、一つ一つの薬剤について「(対象の疾患、病態への)効果が認められた」という情報を見つけることはできますが、「効果がない」ことを述べている公の文書は、ざっと見たところ無さそうでした。

代わりと言っては何ですが、四国がんセンターのホームページから「がんの補完代替医療ガイドブック」がダウンロードできます。
http://www.shikoku-cc.go.jp/hospital/guide/useful/newest/cam/dl/index.html

第3版をご覧いただくと良いかと思いますが、「科学的検証(17ページ)」などについて分かりやすく解説してあるので、ご参考になれば幸いです。

余談ですが、その効果が見込まれる患者さんがいて、現在の日本の保険制度でどうしても賄えない場合などにはメリットもあり得る、と考えることはできますが、科学的根拠なしに、希望さえすれば自費治療でオプシーボや免疫療法を行えること自体は、倫理的な問題があると感じ、胸が痛みました。

ご両親としてはご心配なさるのも無理もないことと存じますが、多少時間がかかったとしても、さとみんさんのスタンスを共有され、さとみんさんも、ご家族も、日常を穏やかに過ごされますことをお祈りしています。

長文失礼いたしました。
Re:家族を説得する為、代替医療が効かないと言うデータが欲しいです
さとみん (東京都) 2018/04/13
N様

いくつか有益な情報やリンク先をご紹介頂きまして本当に有難うございました。こちらでお互いの両親を説得しようと思います。
大変助かりました。ありがとうございます。

私も正直、遠隔転移でもう保険診療で選択肢がないです、となったら考えるかもしれませんが今の段階では全く不要と思います。

ほぼ素人である患者とその親族に、正しい情報が伝わることを切に願っています。

ありがとうございました。

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