掲示板「チームオンコロジー」

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治療とその選択
乳癌ホルモン療法 アロマターゼ阻害薬の分量について
S(千葉県) 2019/08/05
sumomo様 
乳腺外科医のSと申します。返信を投稿しようとしたところ、既にご質問が削除されておりましたので、疑問が解決されていたら良いなと思いながら、一応他にも同様のお悩みをお持ちの方がいるかもしれないので、お返事を書かせて頂きます。

アロマターゼ阻害薬の副作用が大変おつらいようですね。
分量を減らしても治療効果が変わらないか、と言うご質問かと思います。
アロマターゼ阻害薬の治療効果は、体内のエストロゲン濃度が下がる事によって得られます。ですから、一般的には治療効果と引き換えにエストロゲン濃度の低下によって生じる副作用は、ある程度受容して頂き、上手く付き合っていく必要があります。つまり、つらかった副作用がお薬の量を調節して出なくなったとしたら、それはエストロゲンが十分に低下していないため、治療効果も期待できない可能性が高いと言えます。(もともと副作用のない方は薬の量が足りないとか、治療効果が期待できない、と言う意味ではありません。)
現実的には副作用の出方は人それぞれですから、様々な対策をしても副作用がとてもきつくて続けられない方もいます。そのような場合には、まず休薬して今困っている症状が本当に薬の副作用によるものか確認し、やはりそうであった場合には薬剤を変更するという選択肢があります。
sumomo様は既に主治医の先生に相談をなさっているようですが、もう一度、副作用がきつくて、このままでは継続が困難な事、副作用を軽減する方法が休薬以外に無いか、他の薬剤に変更できないか等を、主治医、看護師、薬剤師さんに相談なさってみてはいかがでしょうか。海外にお住まいとの事で、もしかすると医療スタッフとのコミュニケーションがとりにくいのかもしれませんが、長く続けるお薬ですので、是非十分に話し合って方針を決めて頂ければと思います。sumomo様にとってより良い治療の選択肢が見つかりますことをチーム皆で願っています。

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Re:乳癌ホルモン療法 アロマターゼ阻害薬の分量について
sumomo(海外在住) 2019/08/06
s先生

お忙しい中、お時間を割いて詳しくご説明くださり、誠にありがとうございます。
主治医とは頻繁に相談し、これまで休薬期間を挟み3種類すべてのアロマターゼ阻害薬を試しました。その結果、副作用によるQoLの低下が激し過ぎるので、レトロゾールの隔日服用を希望したところ、アロマターゼ阻害薬の減量はまだ研究が進んでいないとの主治医の意見により、タモキシフェンに戻りました。副作用はまだ軽減していません。

ご説明くださった、副作用はエストロゲン低減効果の表れという意味は十分理解できるのですが、私の投稿した質問は、例えばレトロゾール1錠2.5mgが万人に適量かどうか?という疑問でした。仮に、薬によって体内のエストロゲン濃度がゼロになったことによる副作用と、ゼロになってもなお薬を取り続けた場合の副作用がまったく同じなら、ご説明は納得できます。2.5mgがある人には多過ぎて、2mgでも十分その人の体内エストロゲン濃度がゼロになるとしても、その人が受ける副作用は2.5でも2.0でも同じということになり、アロマターゼ阻害薬の分量を減らす意味はありません。そういう意味でしょうか?

上の例の場合、2.5を1.25にすると、体内のエストロゲン濃度が十分に減らず、その分、副作用も減るが、効果も減るという意味は十分理解できるのですが、2.5を2.0に減らしたら、効果は保ちつつ、副作用が減るのではと勝手に想像してしまいました。そういうことはないのでしょうか?

ネットで調べると以下の研究もあり、また乳がんコミュニティ掲示板で情報交換したところ、実際にレトロゾールの隔日服用を処方する先生方もいるようです。私の主治医の意見から察するに、こういう研究もあるにはあるが、まだ成果が十分ではない、ということだと理解しております。しかし、タモキシフェンの副作用(特に子宮への影響)も心配で、ずっと続けたくはない気持ちもあり、レトロゾールの隔日服用が実際のところどう評価されているのか非常に関心を持っております。s先生のご意見も伺えたら、大変ありがたく存じます。せっかく、ご説明をいただいたのに、不勉強なために生意気な質問になってしまっていたら大変申し訳ありません。コメントくださったことに、あらためてお礼申し上げます。
Proof-of-Concept studies: The reported increases in AI exposure being around 50%, an intermittent dosing schedule of 1 administration every other day could result in a similar drug exposure as compared to the usual daily schedule. AI elimination half-lives in the absence of any alteration also are consistent with this dosing schedule (24, 48, and 50 hours for exemestane, letrozole, and anastrozole, respectively). In order not to impair plasma concentrations, such a schedule is preferably suggested as compared to a half-dose daily schedule.

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Re:乳癌ホルモン療法 アロマターゼ阻害薬の分量について
S(千葉県) 2019/08/09
sumomo様
お返事頂きありがとうございました。
薬の適量は、治療効果と副作用のバランスによって変わりますので、万人に適量ですか、と言う質問には必ずしもそうではない、と言うのがお答えになるかと思います。参照に挙げて頂いた抄録も、腎機能や肝機能が低下している高齢者に対しては隔日投与で連日投与と同等の薬物血中濃度が得られることから、エストロゲンの低下効果も同等に得られる可能性が高く、アロマターゼ阻害剤そのものが引き起こす副作用が減らせるかもしれない、と言う内容かと思います。
また日本におけるアロマターゼ阻害剤の至適用量も、海外での試験データをおおもとにして決められていることから、日本人の体格などから考えて海外での標準量より少なくても良いのでないかと考える医師がいるのも事実ですし、標準量より少ない量でも血中のエストロゲンの濃度は十分に低下すると言う論文もあります。この論文では減量投与しても血中エストロゲン濃度が標準量と同等に低下している事が示されていますが、同時にQOLも変わらなかった、すなわち減量投与によりQOLの改善はなかったことが示されています。(なお、この論文のもととなっている試験は乳癌患者さんを対象に再発の抑制効果をみる目的で行われているのではないため、減量投与時の再発の抑制効果について判断できる論文ではありません。)
Double-Blind, Randomized Trial of Alternative Letrozole Dosing Regimens in Postmenopausal Women with Increased Breast Cancer Risk. Cancer Prev Res (Phila). 2016 Feb;9(2):142-8. Cancer Prev Res; 9(2) February 2016

前回の回答の繰り返しになりますが、アロマターゼ阻害剤の副作用は多様ですので一概には言えませんが、関節痛やホットフラッシュなど、エストロゲンの低下によって起こっていると考えられる副作用はアロマターゼ阻害剤の量にかかわらず、エストロゲンが低下する限りは変わらないと考えます。ですから、アロマターゼ阻害剤を減量したらエストロゲンの低下により引き起こされていた副作用が軽減したのであれば、治療効果も低下する可能性があります。sumomo様が悩まされている副作用がアロマターゼ阻害剤そのものの毒性により引き起こされた肝機能障害等によるものでしたらアロマターゼ阻害剤の減量により副作用が軽減する可能性はありますが、その時に治療効果が減量前と同等に期待できるかは分かりません。
休薬は大変勇気のいる決断だと思いますが、薬が合わない時にはやむを得ない場合もあると思います。また既に薬剤の変更については試されているようですが、タモキシフェン内服に変更されたにも関わらず副作用が軽減していないのであれば、現在お困りの症状を軽減するためにも、主治医以外の医療スタッフや、他科の医師に関わってもらうと良いかもしれません。sumomo様が納得のいく解決策が見つかる様、チーム一同応援しています。

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