掲示板「チームオンコロジー」

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治療とその選択
前立腺がんではない
優璃(埼玉県) 2019/08/30
はじめて投稿させていただきます。よろしくお願いします。
父に血尿が続き、今年の5月から医大の泌尿器科で検査を受けていました。
排尿障害があり、尿道カテーテルの指導を受けて自己導尿をしていたのですが、
高齢な父はそれがうまくできていませんでした。

8月、40度の熱を出し、近くの病院に緊急搬送してもらいました。
膀胱から腎臓にまで尿が逆流し、尿路感染症・腎盂腎炎と主治医に言われ、全身状態が悪いので、がんの疑いもあるとのことでした。
医大の泌尿器科のデータはその病院にはありません。

その後、前立腺がんの腫瘍マーカー(PSA)の値が54と高く前立腺がんがうたがわれるので、通院している医大の泌尿器科に行き、詳しく検査を受けるように言われました。
医大では5月からの検査でがんを疑うものはないとのことでした。

疑問を感じた家族は、同じ医大の系列でがん専門の医療センターに予約を取り、そちらの泌尿器科に紹介状を書いてもらい、改めて血液検査、尿検査、そして緊急で搬送された中央病院のCD(画像)データ、系列の医大の過去の診療履歴を診てもらい5月からのエコー画像・CT画像を診てもらいましたが、やはりがんはないとの診断。

尿道カテーテールを導入するとPSAの値が跳ね上がるからそれが原因でしょうとのことでした。
しかし、家族としては緊急で搬送された病院の主治医の話し方(感情表現)から、えぇ、今は誰を何を信じていいの?がんが否定されているのも関わらず、逆パニック、動揺・呆然としています。
医大の主治医は教授、がんの医療センターの主治医は若手。教授ががんを疑うものはないと言ったんだったら、俺ががんでしたなんて言えるわけないじゃんなど疑心暗鬼に陥りました。
本当にこれでよかったのか?気持ちの整理をさせてください。
よろしくお願いいたします。

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Re:前立腺がんではない
近藤千紘(東京都) 2019/08/31
優璃さま

この掲示板を通じてお気持ちをお聞かせいただきありがとうございます。泌尿器の悪性腫瘍の患者さんの診療を行っている腫瘍内科医の近藤と申します。

お父様は医大の泌尿器科で排尿障害の診断で、自己導尿をされていたのですね。
8月に40℃の高熱がでる腎盂腎炎を治療してもらったお近くの病院で「がん」の可能性を指摘されてから、最初にかかっていた医大で尋ねられたところ、5月の検査の結果から、がんの疑いはないと聞かれたという状況と理解しました。

ご心配から2つめの泌尿器科にかかられ、持参した記録をみてもらい、同じくがんはないと診断されたとのこと、状況を伺った限りでは、ひとまずは強くがんを疑うという専門家の意見はなさそうであり、ご安心されてよいように思います。

PSAは「前立腺特異抗原」という検査の値で、前立腺への刺激に反応して変動します。ですので自己導尿により刺激をしたり、感染症で炎症が及ぶと、高くなってしまいます。
前立腺がんでも上昇することが多い値のため、誰しも心配になることが多いのですが、がんの場合は、数か月後に再度検査をすると数値が上昇します。また、指で触って硬い部分がでてきたり、超音波(エコー)などの画像検査で異常が出てくると疑いが増し、最終決定の際には、生検といって外から針を刺して組織をとり、顕微鏡で見て診断をします。
生検は、超音波(エコー)をみながら怪しいところに狙いを定めて行う検査のため、画像で見える病変がないと、意味をなしません。

少なくとも、次の診療予約をどちらかの泌尿器科でなさっているのであれば、尿検査や採血検査などの簡単な検査でがんの可能性を、また確認してもらえるのではないかと思います。これに関しては、どの程度その泌尿器科の先生ががんを疑っているかで、検査のタイミングは異なると思いますが、不安であるということを担当の先生にお伝えになり、今後の計画を尋ねられてもよいかもしれませんね。

それでも不安がぬぐえない場合は、もう一つセカンドオピニオンを受けるということも、よいかもしれません。今度は、医大と全く関係のない病院の泌尿器科に紹介してもらうと納得のいく答えにつながりそうですね。
「患者相談窓口」や「がん相談窓口」という、患者さんを支援する部署が、大きな医大には必ずあると思います。そちらでご不安を相談いただくと、近隣の泌尿器科を教えてもらうことができます。医大関連でない病院の情報もそこにはありますので、医師に直接紹介先を尋ねるより公平な選択ができるのでおすすめです。

セカンドオピニオンに複数行くことに、ためらいが生じるかもしれませんが、優璃さまとお父様が納得して戻ってこられれば、その後の医大での診療も疑いをもたずに受けることができ、よりよい医療者との関係が築けると思われます。
自己導尿が難しい場合の排尿管理の手段も含め、現在お世話になっている泌尿器科の先生方には、今後も長く診てもらっていくことになるのだろうと思うと、ひとつずつ、納得を得ながら、聞きたいことを聞ける関係をつくっていくのは大切なことだと思います。

勇気をもって投稿していただき、ありがとうございます。
この掲示板のむこうには、いろいろな科の医師や看護師、薬剤師などの医療職種のメンバーが見守っています。また困った出来事があれば、いつでもご相談くださいね。

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Re:前立腺がんではない
優璃(埼玉県) 2019/08/31
腫瘍内科医 近藤先生

早々にご回答いただきありがとうございます。
先生の文章を何度も読んで、気持ちが落ち着いてきました。
今は少し安心してもいいんだと思えるようになりました。

現在の医大の主治医には不安であることは率直に話すようにいたします。
また、がん相談支援センターから外部の泌尿器科を紹介いただけることは
知りませんでしたので、利用させていただきます。

このようなサイトや医療関係者の方がいらっしゃることに感謝いたします。
アドバイスありがとうございました。

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Re:前立腺がんではない
優璃(埼玉県) 2019/12/01
再度投稿させていただきます。よろしくお願いいたします。
10月下旬、医大の泌尿器科でPSA値が84と高いため、11月末(混んでいて1か月待ち)に単純MRIを撮ったところ、前立腺がんが疑われ、リンパ節と恥骨の転移が疑われるため、骨シンチと造影MRIをこれから撮ることになりました。
ここまでの経過は、
5月初旬、血尿が続くため医大の泌尿器科を受診。前立腺がんの検査はclassⅢでグレーゾーンの診断。前立腺肥大症と診断される。
8月中旬、自己導尿のカテーテルがうまく使えておらず、尿路感染症になり、医大ではなく(お盆休みに入り医大は受け入れてもらえなかった)ため、近くの中央病院に緊急搬送され入院。
全身状態を検査しPSA値が54と高いため、すぐに元の医大の泌尿器科でがんの検査を受けるように指示をされる。医大ではなく、系列のがんセンターに行ったところ、
そこの先生は医大のこれまでのデータと中央病院のデータ(CDなど)からカテーテルが留置されているとPSA値が反応を示すし、このデータを見る限り前立腺がんの問題なし。
改めて検査も無駄、必要なしの診断。
それから2か月、10月中旬に久しぶりに医大の泌尿器科を受診したところ、PSAが84になっていたという状態です。
8月下旬「問題なし」から、10月下旬の検査で、がんじゃないと思うけど・・・カテーテルが入っているとPSA値は高くなるけど、一応検査しようから、今回「恥骨転移の疑い」となんだか早くないでしょうか。
確認は、
・8月は問題なしで、10月は念のため疑ってみるか。。。でがんの疑い。早くないですか?
・カテーテルが留置されているため、生検は危険との判断。生検なしでも大丈夫ですか?
・造影MRIと骨シンチの検査にもよるが、ホルモン療法でうまく共生していきましょう。抗がん剤をやらないで済むならそのほうが高齢の父にはありがたいのですが。
以上3点です。
これからの検査とその後の結果を聞く前に気持ちの整理をさせてください。
どうぞよろしくお願いいたします。

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Re:前立腺がんではない
三浦 裕司 (東京都) 2019/12/03
はじめまして。近藤の同僚の三浦と申します。

5月から目まぐるしく様々な情報が入ってきて、かつ状況が変わっており、いろいろとご不安な事と拝察いたします。

>8月は問題なしで、10月は念のため疑ってみるか。。。でがんの疑い。早くないですか?
PSA検査の性質(半減期など)から、フォローアップは1-3ヶ月毎に行う事が多いです。今回は、尿路感染症があった事(これだけでもPSAは偽陽性 [偽りに高くなってしまう事]になる事があります)などから、1ヶ月ではその影響が残っているかもしれない事、ただし、初回のPSA高値であることから、あまり間をおかずに再検査したいところなどから、2ヶ月の経過観察で再検査となったのではないかと思います。
早いか早くないか?というのは中々定義が難しいところですが、一つ考えられるのは、特に骨転移に関してMRIはCT検査より良く分かるので、8月の時点でも骨転移は存在したが、CTでははっきりしなかったという可能性もあります。

>カテーテルが留置されているため、生検は危険との判断。生検なしでも大丈夫ですか?
これもなかなか難しい点です。確かに生検をして前立腺癌であることを確定することが望ましいです。ただし、現実問題として実施が不可能である場合は(今回はカテーテル留置のため)、MRI検査などの画像検査で臨床診断を付けて、治療開始する事は時折ある事です。

>造影MRIと骨シンチの検査にもよるが、ホルモン療法でうまく共生していきましょう。抗がん剤をやらないで済むならそのほうが高齢の父にはありがたいのですが。
初発で転移(リンパ節や骨)を有する患者さんに対する初回治療として、ホルモン療法は標準治療となります。もし骨の転移がかなり複数に渡っていたり、肺や肝臓などの臓器にも転移がある場合は、これに抗癌剤を併用する場合があります。ただし、患者さん自身の体調や体力などにもよって決めますので、ホルモン治療だけというのも十分ありうる選択肢だと思います。ひとつ付け加えておくと、ホルモン療法に抗癌剤を併用した場合であっても、治癒するわけでなく、「うまく共生していく」という治療の目標は変わらないことには注意が必要です。

ご参考になりましたら幸いです。

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Re:前立腺がんではない
優璃(埼玉県) 2019/12/05
三浦先生

お忙しい中、ご丁寧な回答ありがとうございます。
本日検査結果を含め、医大で話を聞いてきました。

・生検は当初言った通り危険なのでやらない
・CT⇒恥骨への骨転移について所見がまだ出ていない。おそらくまだ迷っているのだろう。次回の診察までには確認する
・造影MRI⇒骨転移の疑い
・骨シンチ⇒明らかな骨転移は認められず
転移については骨転移のみ指摘されていたので、肺・肝臓などは大丈夫のようです。
見解が分かれているのが気になりますが、家族・本人としても骨シンチの結果を今は信じて、主治医の勧めるホルモン治療開始します。
1日1回飲み薬。がんが小さくなれば留置されているカテーテルを外せるかもしれない。そうしたら生検ができる。現段階では血液検査は毎月一回実施。

5月以降、本当に不安とパニックになるほど大混乱でした。
8月医大の系列のがんセンターでの診察で「検査するだけ無駄」と言われていただけに、恐怖に襲われました。
医師の言葉は心と体を安心させてくれる一方、時にどん底に突き落とされることが今回よくわかりました。

「今は心配するような所見はないけど、でもPSAが高いのは現実だから、今後も注意深く経過を医大の方で診てもらってください」と言われるのと「するだけ無駄」では天と地の差でした。
その先生にはソーシャルワーカーさんを通して、患者と家族の思いを素直に伝えます。
恨んでいるわけでも憎んでいるわけでもありません。
失礼ながら、若いなぁ先生というのが率直な思いです。
このたびは大変お世話になりました。

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