掲示板「チームオンコロジー」

Bulletin board

治療とその選択
高齢者の悪性リンパ腫治療について
黒猫(東京都) 2019/09/26
母83歳が今年3月DLBCLステージ2でRCHOP6コース終了し寛解に至りました。
治療中は薬の副作用を含め体には特に問題は出ませんでしたが、
心は神経症、心身症、不安発作となり、退院後しばらくは鬱になりました。
7月にようやく回復し体調も昇り調子でしたが、9月中頃暑さだるさを訴え
測ると37.2度。

その後毎日計測してみると、夕方から夜に37度~37.2度(1回のみ日中37.5)になっていると判明しました。

定期検査結果はCRP0.08 LDH260 sIL2R300、どこかに再発している可能性は
0ではないと、すぐにもCT検査と薦められました。
が、母は、再発の可能性と聞いただけで、再び鬱傾向になってしまいました。

仮に微熱がリンパ腫由来のものとして、母が受けられる治療はあるのでしょうか?

当初家族皆悪性リンパ腫に無知で、医師の治るとの言葉に母も治療を選択しました。
当時は治る可能性を捨てることは出来なかったですが、
今は果たして治療は正しい選択だったのか、と悩む日々です。

   
Re:高齢者の悪性リンパ腫治療について
S(鳥取県) 2019/09/30
黒猫さま

投稿ありがとうございます。鳥取で腫瘍内科をしているSと申します。
6コースの適切な治療が終ったところです。DLBCLの初回治療では、ご高齢であっても、治療によるメリットが大きいので、黒猫さまの選択は正しかったとお伝えしたいです。治療後に鬱傾向になる方も実際におられます。私の外来には精神科の先生に助けて頂きながら診療を続けている方もおられます。ほぼ皆様が笑顔を取り戻しておられます。

お母さまの体調の変化で、再発の可能性をお考えになるのですね。ご不安が絶えないことと思います。

仮にリンパ腫が再発した場合であっても、お母さまが受けることのできる治療を複数提示できます。お母さまとご家族、主治医、看護師、薬剤師、心理士など、みなで最善の選択をするために話し合う事が大切だと思いました。お母さまの意思決定を黒猫さまと医療者でサポートできることを祈っています。
Re:高齢者の悪性リンパ腫治療について
黒猫(東京都) 2019/10/01
S先生 お忙しいところご回答有難うございます。暖かいお言葉、感謝申し上げます。

DLBCLのGCBで治癒率の高さから当初治療しない決断は出来ませんでした。
確かに、実際に退院時腫瘍は消えましたから、たとえ現在のような状況になる
可能性を事前に聞いていたとしても、母も家族も治療を選んだと思います。

S先生の仰る複数の治療は救援療法でしょうか?
83歳で別の抗がん剤を再び使うとしたら・・・と思いますが、おそらくそれは
個々人で事情も異なってくると思いますので、掲示板では控えようと思います。

とても難しいです。
治すために受けた治療で腫瘍は消えて、しかし母は元気溌剌だった治療前とは
全くの別人になってしまいました。

この上の試練あるなら、これから出来る最善の選択が何であるのか、
母にとって尊厳ある余生とは何なのか、そういった事を話し合える医師を探すところから
始めてみようと思います。
Re:高齢者の悪性リンパ腫治療について
S(鳥取県) 2019/10/01
黒猫さま

お返事ありがとうございます。腫瘍内科Sです。
「全くの別人になってしまいました。」と教えてくださいました。抑鬱状態の他に、認知症も心配です。精神科や神経内科などの専門科と相談しながらお母さまの状態がよくなられるかどうか様子を見て見られることも選択肢だと思いました。お母さまにとっての尊厳のある人生こそが、がん診療の真髄だと思います。ところが、単一の職種ではとても対応が難しいことも現実です。今通院中のご施設で、看護師さんや臨床心理士さんなど他職種の方にご相談してみられることも、お母さまや黒猫さまにとってとても助けになると思います。
Re:高齢者の悪性リンパ腫治療について
黒猫(東京都) 2019/10/02
S先生
お忙しいところ重ねてのご回答、心から感謝申し上げます。

先生のご推察通り母には退院後軽度認知症の診断がおりています。
不安恐怖と認知力低下は完全に連動しています。
不安が減ると一時的には急速に回復する事から、認知症としては軽度に 
なっています。

治療を受け通院している病院が急性期を診る大病院でしたので、
各科の連携はなく癌相談窓口も機能しておりませんでした。

RCHOPが標準治療である旨や奏効率、薬剤の危険率など数字は母と共に聞きましたが、
数字に表せない生身の人間に起こる現象については話し合う機会はなく
退院後改めて病院に頼んでみましたが、退院してしまうと尚更難しいとのことでした。

入院中一度だけ院内外来で精神科の先生をお願い致しましたが
「もっと死にたくなったら改めて呼んで下さい」と言われ
二度と頼る気持ちにはならなかったです。

今後の方針や心のケアをどうしていくか、自力で情報を集め色々あたってみています。
このサイトを知ったのも、そうした行動によってです。

現実はまだまだ理想的な癌のトータルケアには遠いです。
Re:高齢者の悪性リンパ腫治療について
S(鳥取県) 2019/10/05
黒猫さま

返信ありがとうございます。鳥取の腫瘍内科Sです。

最後にいただいた言葉は、本当に身につまされるお話です。皆さまに納得・満足していただける、がん医療を提供するために、私たちは活動しています。まだまだいろいろな側面で足りないですね。申し訳ありません。これからも努力を続けてまいります。

お母さまの幸せのために、それでもやはり医療者とのコミュニケーションが大切だと思います。今通院しておられる病院の相談窓口が機能していないと教えていただきました。地域がん診療連携拠点病院であれば、がん相談支援センターなどの名称で相談窓口をもっており、その病院に通院してない方でも相談ができます。いつでも対応してくださいますが、折角お出かけになっても、相談員が対応できなかったらいけませんので、一度電話などでお約束をされてから相談に行かれることを勧めます。

理想のトータルケアは、本当に難しいと思います。難しいからこそ、多職種での対応が重要です。黒猫さまから頂いたご相談には、看護師さんや臨床心理士さんが力になってくださると思います。

記事内容を変更することはできません。記述を修正したい場合はコメント欄を使って補足・訂正を行ってください。