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患者と医療者のコミュニケーション
浸潤性小葉癌(転移有)
K(愛媛県) 2020/02/21
初めまして。
長年持ってた子宮筋腫を摘出する決断をし、転勤を機に初めて訪れた病院で卵巣嚢腫も指摘され、昨年11月末、子宮、卵巣を含む骨盤内臓器の全摘出をしました。
病理検査で卵管内に癌が見つかり、これが転移癌という事で原発を見つける検査をした結果、1月17日、乳癌が判明。マンモにも写らなかった4mmの浸潤性小葉癌、ステージ4でした。
PET検査では、膣断端部にも癌が見られ、再度MRIなどもしましたが、腫瘤などが無いので断端部の手術は難しい、なので乳房も取っても意味が無いから、ホルモン療法で、と言う事になりました。
乳癌に対して知識が全くなく、とにかく急がなくてはと、癌が確定した翌週1月22日から治療開始しました。フェソロデックスと、ベージ二オでの治療中です。

私の組織検査結果です。
腺管形成スコア3、核分裂スコア1、核多形性スコア2、組織学的グレード2。
免疫染色でER(+)80%、PgR(+)80%、MIBー1は約5%、HER2陰性。

治療始めてから色々調べましたが、小葉癌の症例は少なく、癌は大きさだけではないとわかってはいますが、4mmと言う大きさで既に転移してる事を冷静に受け止められません。私は転勤族で、今凄く田舎に住んで居て、近くでは中核病院が1つだけです。そこで治療してるのですが、

質問です。
①小葉癌自体珍しいのに、田舎の病院では症例数自体少ない中で、この治療方しかないのか?と、考えてます。乳癌ガイドライン等読んでも、確かに標準治療だとは思うのですが。

②乳癌は転移ある時点で他にも目に見えない微小転移をしている可能性がある事も理解はしてますが、この小さな小葉癌を部分的に切除してもやはり、意味は無いのでしょうか?先生はどうしても切りたかったら切ってもいいよ、と言うって事は切る事にメリットが無いと言う事だとは思うのですが・・・。

筋腫手術から今日でやっと丸3ヶ月。傷も癒え運動もOKになり、痛くも痒くもなく元気なのに、今は薬の副作用で元気でない毎日でメンタルもやられかけてます。

お忙しいとは思いますが、ご意見をお聞かせ下さいますよう、宜しくお願いします。

   
Re:浸潤性小葉癌(転移有)
S (鳥取県) 2020/03/03
Kさま

お返事が遅くなり申し訳ありません。鳥取という地方で腫瘍内科をしているSと申します。Kさまのご相談はとても核心をついたものだと思います。また、詳しく教えてくださってありがとうございます。

①ご指摘の通りです。ガイドライン通りのいい治療です。最近になって、別のCDK4/6阻害薬を含む併用療法と従前型の抗がん剤治療との比較試験結果が報告されました。このあたりも含めて担当の先生といろいろ相談になり納得のいく治療をうけてください。

②4㎜の乳がんが絶対に転移しないとは断言できませんが、頂いた乳癌の情報から考えるとKさまが疑念を持たれるのはもっともだと思います。ただし、本当に4㎜の病変が本当にひとつだけなのかも問題なのかもしれません。
確率は低いのかもしれませんが、ご相談から私が思ったことをお伝えします。私たち腫瘍内科医は原発不明がんという病気の方を時々診察します。原発巣が不明で転移巣だけで診断される疾患群です。ガイドラインもあり、対応方針はある程度示されているのですが、各施設の総合力が試される病気といわれています。原発不明がんの全てを治せるわけではありませんけれど、中には治すことのできる方もおられます。本当に乳がんの転移かどうかを調べるために、1.担当医に病理像の確認をお願いすることや、2.担当医にお願いして病理のセカンドオピニオンをしてみるのは如何でしょうか。また、もしかすると乳がんの見立てについても再評価が必要かもしれません。乳がんの画像や組織診断についても、セカンドオピニオンをお願いしてみることも一計だと思います。
乳がんと卵巣の病気との組織情報が異なる場合は、別々のがんが偶然同時に存在したという場合もあります。よく遭遇する状況ではないものの、原発不明がんと臓器を確定できるがんが同時に診断される方は現実におられます。
ただし、通常は「一元的に考える」のが原則ですので、転移がみつかって、乳がんがみつかったら乳がんの転移であるとする担当医のお考えは間違っていないこともお伝えしておきます。

どこでセカンドオピニオンを受けるのがいいのかは、種々の医療者と相談してみてください。お世話になっている病院は、がん診療連携拠点病院ですか?
がん診療連携拠点病院であれば、がん相談支援センターという窓口があるのでそちらで情報収集してみることができます。がん診療連携拠点病院でない場合は、近隣のがん診療連携拠点病院のがん相談支援センターを利用可能です。通院患者さんでなくても、ご利用可能です。距離があって行きにくい場合は、お電話での相談もいいのかもしれません。セカンドオピニオン先として、私の患者さんは、よく東京や千葉の病院に行ってもらいます。大切な判断材料になる情報ですから思い切って移動してみることも検討してみてください。

とても大切なご質問だと思いました。ご参考になれば幸いです。
Re:浸潤性小葉癌(転移有)
K(愛媛県) 2020/03/04
お忙しい所、丁寧なご説明とアドバイスありがとうございます。
少し説明不足でした。婦人科で手術後、病理検査に出し、子宮、卵巣、子宮頸部には問題無かったとの事でしたが、卵管部分に癌が疑われ、再度検査に出し、組織情報から胃か乳房か腹膜かの癌だろうと言う事で、PET、MRI、マンモ、エコーなどの検査の結果、最終的に乳癌との診断でした。
そこからは外科に回され(担当医は乳腺外科医です)治療をしています。
人口7万程度の市で、田舎ではありますが、がん診療連携拠点病院です。
「セカンド・オピニオン受けたかったら受けてみていいよ」と担当医の方からも言っていただいてますので、いつでも行ける状態ではあると思います。
いきなりのステージⅣ告知で、諦めが先に来たのも事実です。色々調べているうちにステージⅣの生存率なども目にし、最初に「完治は無い」と聞かされていたので、心底頑張ろうと言う気にもなかなかなれず、とりあえず治療をしている感じでした。
今回アドバイスをいただいたので、コロナが終息した頃にセカンド・オピニオンを受けて、これしかないんだと覚悟を決めて治療に取り組みたいと思います。
Re:浸潤性小葉癌(転移有)
K(愛媛県) 2020/10/04

こんにちわ。小葉癌ステージ4のKです。
コロナ収束の兆しもないので、セカンドオピニオンは保留のまま、とりあえずベージニオ+フェソロデックスの治療を続けております。
12週毎のCAー15ー3の値も、
2月→157 4月→105.6 7月→56.6 そして9月末46.8と、確実に薬が効いてるようです。造影CTでも、エコーでも乳房の癌がどこかわからない状況までになりました。
治療開始後、「効いてる限りこの薬で行く」と主治医が仰ってたので、暫くはこの治療で行くつもりだったのですが、「治療始めて8ヶ月経ったし、フェソロデックスをアリミデックスかアロマシンに変えて見ないか?」と突然言われました。
その意図は?と質問したのですが、60日分処方出来るから、とか、何だか納得出来ない説明で・・・。
フェソロデックスとアロマターゼ系、どっちがいいお薬ですか、と質問したら、ほぼ変わらない、ちょっとフェソロデックスがいいかな、との答え。
万が一フェソロデックスからアロマターゼ系に変えて数値が上がったら?と質問した所、フェソロデックスに戻したらいい、と。

メリットがよくわかりません、と主治医に伝えましたが、4週後の来院日までにちょっと考えてみて返事聞かせてよ、と言われ病院を後にしました。


数値が下がってない状態なら薬を変えてみるのもわかりますが、効いてる状態での提案に、謎が・・・。
フェソロデックスの方がいい薬と言うなら、そのままでいいと思うし、数値が上がったら戻せばいいと言うなら、わざわざ今変える意味がやっぱりわかりません。
治療始めて3ヶ月ぐらいの頃、アロマターゼ阻害薬使う方が第一次治療にはならないんですか?と質問もした事ありますが、いや、今のが第一選択治療だよ、と言われましたし。

わたしの考えでは、アロマターゼ系が効かなくなったらフェソロデックス、的なイメージがあるのですが、私が勉強不足なだけで、薬が効いてるさなかに別の薬を使う事が、実は更に良い結果を及ぼす事があったりするのでしょうか?

単純に病院側のいわゆる大人の事情とかもあるのでしょうか。

考えてきてよ、と言われても全くメリットがわからないので困ってます。調べてもよくわかりません。
薬変えて副作用も新たに出るのも嫌ですし・・・。

医師側から見て、今回の主治医の提案をどういうふうに解釈されるか、是非教えていただきたく投稿しました。

お忙しいとは思いますが、よろしくお願いします。
Re:浸潤性小葉癌(転移有)
M(東京都) 2020/10/06
Kさま、ご質問ありがとうございます。
医師のMと申します。
チームでも相談しましたが、書き込んでくださった内容からは詳細がわかりかねるところもあり、主治医の先生ともう一度よくお話をされることをお勧めしたいと思います。直接ご質問にお答えできずすみません。
ただ、書いてくださりましたように、これまでのやりとりの中でもよくわからなかった点もおありかと思いますし、疑問に思われるのはもっともなことかと思います。これまでもKさまは、主治医の先生とたくさんコミュニケーションをとってこられたかと思いますが、主治医の先生が今回薬剤を変えることを提案された意図や、薬剤を変えることと変えないことによるそれぞれのメリットデメリットをもう一度よく聞いていただいて、何よりご自身のお身体のことですので、ご自身のお立場から判断されることが大切ではないかと思います。
コロナウイルスの件でセカンドオピニオンは保留のまま、とのことですが、セカンドオピニオンを聞いてみるというのもいろいろ考えを整理するという意味でも、一つの選択肢になり得るかと考えます。

Kさまが納得されて治療を継続されていかれるように、ぜひしていただきたいと思います。
また何かありましたらいつでもご質問下さい。

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