コラム/エッセイ

チームオンコロジーへの道

Essay: Road to TeamOncology

チームオンコロジーで見つけたキーワードと実践

看護師:北山さゆり

北山 さゆり Sayuri Kitayama

看護師

姫路赤十字病院看護部 Japanese Red Cross Society Himeji Hospital

1. チームオンコロジーと私

上記の2回の日本における研修(京都と幕張)とJMEにおける米国MDアンダーソンがんセンター(MDA)での研修を通し、そして研修後の実践の中から、チーム医療の中で働く看護師として必要なキーワードを発見しました。チームオンコロジーは私の看護師としての成長過程とも言えます。ここに、その成長過程を簡単にご紹介したいと思います。

2. 教育セミナー後、病棟看護師として

第5回教育セミナーでは、キーワードとして、EBM(根拠に基づく医療)、Leadership(リーダーシップ)・Communication(コミュニケーション)の大切さを学びました。セミナー後、そのキーワードを病棟看護師として実践していました。病棟では、目標である「チームで看護を提供し、患者・家族の自己決定を支援しよう」を目指し、自ら積極的にチームメンバーとコミュニケーションし、情報共有のためのツールの活用と作成、看護師間でカンファレンスを頻回に行いました。そしてチーム医療実践のために、多忙な医師に個々の看護師がそれぞれ意見を伝えるのではなく、カンファレンスの意見を看護師チームの意見として伝え意見交換をするよう努めました。

1年後、病棟内で看護師同士のコミュニケーションが活発となり、互いに刺激しあえる存在となる等、病棟全体にプラスの変化が生じました。それをまとめて院外で発表しました。病棟の変化は、私自身に充実感をもたらしました。しかし、他の職種と直接かかわる中では、看護師として意見を積極的に伝えてはいましたが、病棟の看護師間のように納得がいく活動には至りませんでした。そこで、「何かが足りないのでは?」と考え、学び直す必要性を感じ、再度チームオンコロジー(第1回チームオンコロジーワークショップとJME)へ挑戦しました。

3. チームオンコロジーワークショップ・JME後、相談員として

第1回チームオンコロジーワークショップでは、キーワードとして、新たにActive Listening(積極的傾聴)を学びました。さらにJMEでは、Respect(相手を尊重)、High Ability(専門性の向上)、Education(患者への教育)、System(多職種が協働できるよう組織化)の4つを学びました。

研修後には、病棟から異動となり、相談支援センターに配属になりました。相談員は患者・家族から聴いた意見を主治医や外来看護師・病棟看護師、必要に応じてコ・メディカル、事務職員へ代弁者として伝えます。相談員は医療の最前線ではありません。一歩下がったところで、患者・家族の思いを聴くことが多く、治療選択等、相談員のみで対応できることは滅多にありません。相談事例にあわせて、必要な職種とチームを組むため、個々の事例によってチームメンバーが変化します。

この時に大切にしているのが、ワークショップで学んだActive Listeningです。患者だけでなく、事例にかかわる医療者の考えもしっかりと聴く。そうすることで、事例にかかわる医療者が協働者となり、共に対応し、その結果、患者の思いを反映した医療を提供することが可能となっています。相談員は患者と医療者の間の調整役になることで、少しずつですが、他の職種からの信頼も得られてきていると感じます。

チームオンコロジーへ再挑戦し、新しく得たキーワードで、抱えていた問題を打破することができました。さらに、相談現場で聴く意見を伝達し、その意見から改善策を考え提案(これはまだまだできていませんが…)して、相談員として院内に向け情報を発信しています。その体験を通し、新たなキーワードとしてResponsibility(責任)を重く感じています。

4. 今後に向けて

相談支援センターは相談役割だけでなく、患者団体との連携構築の役割も担っていることから、連携構築に向けた企画運営を担当しています。また、今年度(2010年度)より、地域がん診療連携拠点病院の事務局の役割を果たすこととなり、地域の看護師向けの研修の企画運営も担当しています。企画書の作成は病棟で働いていた時には考えられない仕事です。

一方、相談支援の実務においては、院外からの相談もあり、それに対応するには院外の医療機関との連携は必須です。地域に開かれた相談支援センターとして、相談で聴いた意見をがん医療に反映させるため、今後は院内だけでなく院外に向けても情報発信を通して連携していけたらと期待しています。

これらの役割を担っていくに当たり、新たなキーワードとしてCreativity(創造的発想)とConnection(連携)の2つを常に考え実践しています。今後も、看護師として、また相談員としての実践は続きます。その過程で、新しいキーワードとの出会いを目指したいと思います。

(2010年12月執筆)

ちょこっと写真、ちょこっとコメントMy interest at a glance:

海外旅行!旅行会社での経験のある私。ワーキングホリディの経験のある私。
旅行は私の一番心地よい時間の過ごし方です。気分転換、ストレス解消から人生へ思いをはせる等等。

特に海外は固定観念にとらわれずに、新しい発見がいろいろあるところが大好きです。旅好きの友人と年1回は、「目指せ、海外!」です。写真はベストショットの1つ、雪のモニュメントバレー!

(2010年12月執筆)

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