コラム/エッセイ

チームオンコロジーへの道

Essay: Road to TeamOncology

Go! Fight! Win! 患者さんの笑顔のために

薬剤師:宮道二葉

宮道 二葉 Futaba Miyaji

薬剤師

北里大学 薬学部 Kitasato University School of Pharmacy

私は現在、大学病院にて薬剤師として勤務しております。乳がんの患者さんと多く関わる機会を得てJapan Team Oncology Program(J-TOP)に出会い、Japanese Medical Exchange (JME) 2013にも参加させて頂きました。そこにはたくさんの出会いと学びがあり、今につながっていると実感していますのでお話したいと思います。

TeamOncologyとの出会い

私が勤め始めて半年経ったある日、TeamOncologyのワークショップの案内が職場で回覧されていました。「英語で3日間」、「TeamOncology」、「MD Anderson(MDA)」どれも新鮮でわくわくするキーワードに心底参加したい!と思いました。しかし、上司に「まだ早い、来年にしなさい」と言われその年は諦めました。その後、外科病棟を担当させて頂き、乳がん・甲状腺がんの患者さんに関わらせて頂きました。翌年は、まだまだがん医療には未熟であると自覚しつつも念願だったJ-TOPのThe 1st Leadership Academy 2012に参加しました。チーム医療をアカデミックに学ぶということ事態がとても新鮮であったし、チームの仲間と一つの目標に向かって進み、達成感を得た3日間は今でも鮮明に覚えています。日常では一つの病院の中に納まってしまっていますが全国にネットワークができたことが宝物です。

JMEから日常へ
~アメリカ・イギリス・日本の医療とは…

大学院をイギリスで過ごした私は欧州の医療にはある程度理解がありましたが、アメリカの医療を見てみたい!と以前から思っていました。もちろんMDAだけではすべてを語ることはできませんが、保険システムの違いや幅広い医療の質の違いを学ぶことができました。アメリカ・イギリスの優れているところを羨むだけでなく、日本の誇るべきところもたくさん見つけました。例えば、患者さんに最適な薬剤の剤形を選択する点、一包化調剤・簡易懸濁法などは日本が長けている点だと思います。

~ChangeとChallenge

JMEから帰国して一年が経ちますが、自分の中で少し変わったと思うことが三つあります。一つ目は、日常業務だけに追われないように心がけていることです。MDAの薬剤師が「僕は15時にはいつも仕事を終わらせて自分の研究をするように心がけているよ」と言っていたのが印象的で、私も毎日が勝手に終わっていくのではなく、少しずつ研究材料を集め前進しています。二つ目は、自分のMission/Visionへの忠実性です。今置かれている環境で最大限に努力しているか、常に自分に厳しくいなくてはならないので、長続きするためには刺激しあえる仲間が必要です。幸い、JME2013の仲間やJ-TOPの仲間とFacebookやLINEなどを活用してモチベーションの持続をしています。三つ目はオンもオフも全力でいくと決めたことです。心と身体のリフレッシュに貪欲です。日本人は仕事に飲み込まれて疲弊しがちですが、欧米人のライフスタイルはもう少し自分の時間を大切にしていると思います。だから私は絶対「大変、疲れた、辛い」って口癖にしないように、いつだって「楽しい、ハッピー」に過ごす努力をしています。

~チーム乳がんの取り組み

職場では、普段なかなか多職種全員の顔が見えないため、昨年から週一回多職種カンファレンスを実施しています。乳腺外科医・病棟/外来/集学的がん治療センター看護師・病棟薬剤師・ソーシャルワーカーが集い情報交換をすることで今まで気づかなかったことに気づかせられ有意義な時間です。「薬剤師は調剤室、蚊帳の外」だった時代は確実に変わっているのだと感じると共に責任を持って関わっていきたいと思います。MDAでは常にチームのメンバーは顔の見えるところにいて些細なことも話しあっていました。チーム医療ってメンバーが一緒にいて、何でも話せる仲であることなのだと思います。

Go! Fight! Win! な日々

私にはどんな薬剤師になりたいのかと気にしてくれる医師や先輩、J-TOPメンター、刺激しあえる同僚、J-TOP仲間がいて幸せだと思います。でも、まだまだメンターシップは根付いておらず、同世代や若い人たちにMission/Visionを聞いても考えたこともない人が多いのが現実。一人でも多くの人にJ-TOPの輪に入ってもらえるように密かに広めていきたいと思っています。

学生時代、チアリーディングにのめりこんでいた私は、TeamOncologyにも共通するスピリッツを感じます。個々人の能力を認め合い、目標に向かって全力で進む、時にコンフリクトを超えながら。それは見ている観客に笑顔になってほしいから。いつも笑ってGo! Fight! Win!、 患者さんの笑顔のために日々精進です。

(2014年 7月執筆)

ちょこっと写真、ちょこっとコメントMy interest at a glance:

学生時代のほとんどの時間を共にすごした大切なチアリーディング仲間です。まさに汗と涙の青春時代。医療系総合大学だったため、仲間達は現在、看護師・薬剤師・臨床検査技師・理学療法士・放射線技師などさまざまな分野で活躍しています。この頃からチーム医療は始まっていたのだなって思います。人を笑顔にするにはまずは自分から、チアリーディングスピリットは一生持ち続けていきたいと思っています。

(2014年 7月執筆)

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