コラム/エッセイ

チームオンコロジーへの道

Essay: Road to TeamOncology

チームオンコロジー10年を振り返って

医師:佐治重衡

佐治 重衡 Shigehira Saji

医師

福島県立医科大学 腫瘍内科学講座 Fukushima Medical University School of Medicine

「まったく今の若いひとは・・。昔はねえ、」と言うようになると、歳をとった証だそうですが、10年の歳月をこえて継続しているJapan TeamOncology programの昔話を、僕の記憶があるうちに少しだけ文章に残してみようと思います。

2002年9月14日、秋の京都リサーチパーク。はじめての英語版教育ワークショップが開催されました。いったい何をするために集められたのか、よくわからないまま京都に向かったのを覚えています。Richard L Theriault先生の担当グループで、同じグループで参加された先生は、みんな自分より年長で名前の知られた乳腺専門医ばかりでした。清水千佳子先生(国立がん研究センター)と僕が一番若手だったように記憶しています。たしか、新しい臨床試験のプロトコールを起案していくような課題だったと思いますが、千佳子先生と2人で司会をして、ホワイトボードにまとめていきました。今のアカデミーと同じく、3日間のプログラムでしたが、自分が受け持ちをしていた患者さんの容体が悪くなり、2日目の夕方に東京にもどって胸腔ドレーンをいれたことを覚えています。結局、そのまま京都には戻れずじまいでしたが、なぜか翌年の留学メンバーに選ばれてびっくりしました。今と違い(?)、よっぽど目立つ若造だったのでしょうか・・(汗)。

翌2003年、4月7日~5月30日がMDアンダーソンがんセンター(MDA)での集学的医療研修プログラム(JME)です。なにしろ1回目なので、何をするか模索しながらのプログラム編成であったと思いますが、MDAのスタッフが本当に良いプログラムを作って下さっていました。外来見学などは、ふつうの短期研修でもよくあると思いますが、この初回のJMEからすでにIRB(倫理委員会)のオブザーバー参加や職員研修への参加なども入っており、驚いたのを覚えています。四国がんセンターの青儀健二郎先生、当時広島大学におられた金隆史先生、国立がん研究センター清水千佳子先生と一緒です。清水先生と僕は、一人スタッフを連れていっても良いということになり、国立がん研究センターから看護師の垣本看子さん、都立駒込病院から薬剤師の奥山裕美さん(現:昭和大学)が途中から参加しました。血液型がA型の僕と金先生が、B型の青儀先生と清水先生の面倒をみる(?失礼)という、デコボコチームでしたが、とても楽しく、そして、その後の自分の人生を変えるヒューストンでの2ヶ月でした。これら2つのプログラムは、少しずつ形を変え、目的を修正しながら、現在も継続されています。

おそらく、この後も多くの参加者の人生に影響を与えてきていくと思います。このように大きく、国際的なプログラムを10年以上にわたり継続していくということは並大抵ではありません。様々な方々の支えによって、現在のプログラムが続けられています。特に、MDAのメンターとして長きにわたってこのプログラムに関わってくださっている、MDAの良心Theriault先生、スーパーナースのJoyce、いつもやさしいLiao先生、今は参加されていませんが熱い(暑い)外科医のFeig先生、気配り抜群がん専門薬剤師のHillary、いろんなことを教えてくれた統計家のドンBerry先生とスペイン系腫瘍内科医Esteva先生に感謝申し上げます。また、このプログラムを長きにわたって支えてくださっている、中外製薬様、ノバルテイスファーマ様、またある期間を支えてくださったサノフイ・アベンテイス様、ファイザー様に感謝いたします。

そして、一番はじめを作り、現在までをずっと支えてくださっている上野直人先生と笛木浩さん、本当にありがとうございます。いつまでも元気でいてください!

(2015年 9月執筆)

ちょこっと写真、ちょこっとコメントMy interest at a glance:

2013年からマラソンを始めました。当初は登山のための体力を維持するためでしたが、北アルプスに入る時間がとれないこともあり、ランのほうが中心になりつつあります。1年に3戦のペースでフルorハーフマラソンの大会にでています。FaceBookでの友達つながりで、FB oncologyというチームも作りました。医療に関するいろんな立場のひとが集まっています。

(2015年 9月執筆)

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